連邦通信委員会(FCC)は米国時間2008年8月1日,米Comcastが正当なインターネット・コンテンツにアクセスするインターネット・ユーザーの権利を不正に妨害したと判断し,正当なネットワーク管理の一環だとするComcastの主張を退けた。

 FCCによれば,同社はネットワーク全体にわたって顧客がアクセスするコンテンツを監視する装置を導入し,ピア・ツー・ピア(PtoP)と判断されるアクセスを一部遮断したという。FCCはComcastに対し,アクセス遮断によるコンテンツ差別の詳細な説明,年内に差別行為を撤廃するためのコンプライアンス計画などを30日以内に提出するよう命じた。

 この問題は,最初にBitTorrentなどのPtoPアプリケーションを使っているComcastの加入ユーザーが気づき,デジタル権利擁護団体の米Public Knowledgeと擁護団体のFree PressがFCCに対して妨害行為の禁止を申し立てていた。アクセス障害が報道された当初,Comcastは責任を否定したが,米Associated Pressや米Electronic Frontier Foundationがファイル共有アプリケーションの利用をテストして確認したところ,Comcastは一部PtoPユーザーのアクセス妨害を認めた。ピーク時のネットワーク渋滞を回避する対策だと説明したが,これも後になって,時間帯に関係なく行っていたことが判明した。

 FCCは2度の公開審理を開いたほか,専門家や企業・組織,一般から多くの意見を聞いた結果,「Comcastが当初認めていたよりも,広範な妨害だった」ことを確認したという。また,接続ルートを調べるためにユーザーの電子メールを開くなどの「侵害行為を犯した」と判断した。

 ComcastはFCCの決定に対するコメントを同日発表。FCCが罰金を科さなかったことに「満足」としながらも,「当社のネットワーク管理の選択が正当であると確信しており,当社の和解案をFCCが拒否したことは残念だ」と述べた。

[発表資料(FCCのプレス・リリース)]
[発表資料(Comcastのプレス・リリース)]