米Red Hatは米国時間2009年12月7日,「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)5.4」ベースのリアルタイム性を高めたOSの新版「Red Hat Enterprise MRG 1.2」をリリースした。メッセージング/リアルタイム/グリッド処理の性能/機能を強化したとしている。Enterprise MRGの契約者には,RHEL向けシステム管理サービス「Red Hat Network」経由で1.2用アップデートを自動配布する。

 Enterprise MRGは,RHELにリアルタイム拡張機能などを追加する分散コンピューティング用プラットフォーム。新版は,カーネル・ベース仮想マシン(KVM)技術を採用したRHEL 5.4および仮想化サーバー/クラウド環境管理ソフトウエア「Red Hat Enterprise Virtualization」に対応している(関連記事:Red Hat Enterprise Linux 5.4提供開始,仮想マシンにKVMを正式採用仮想化にKVMを採用したRed Hat Enterprise Linux 5.4,国内発売Red Hat,企業向けLinux/Windows仮想化サーバー管理ソフト・スイートをリリース)。

 メッセージング機能を強化し,処理を高速化した。具体的には,高速通信バスInfiniBandのスループットが1システム当たり毎秒150万メッセージ以上,InfiniBand経由のRDMA(リモートDMA)待ち時間が40μ秒未満。KVM仮想化システム上のメッセージング処理は,スループットが毎秒100万メッセージ以上,待ち時間が200μ秒未満という。リアルタイム性も高め,システム内で遅れの発生しているハードウエアを検出するツール「rteval」を追加した。

 Enterprise MRGのグリッド機能は米ウィスコンシン大学マディソン校の開発したグリッド環境向けオープンソース・スケジューラ「Condor」を採用しており,Webサーバーや各種アプリケーションを分散化したクラウド環境で実行できる。新版はRHEL 5.4のKVM仮想マシンのスケジューリングに対応したほか,大規模クラウド向けに拡張性を高めたという。

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