ドメイン名やIPアドレスを管理する非営利組織Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は米国時間2009年9月30日,ICANNが今後,国際組織としての運用モデルを採用することについて,米商務省と合意したと発表した。

 ドメイン名の管理業務はもともと,米Network Solutions(NSI)や,インターネット関連国際団体Internet Society(ISOC)の下部組織であったInternet Assigned Number Authority(IANA)が米国政府から委託を受けて行っていたが,米国政府がインターネット管理の民営化案を公表したことを受け,ICANNが1998年10月に発足した。同年11月,商務省とICANNは,インターネットの管理権限を民間組織に委ねるとする了解覚書(MOU:Memorandum of Understanding)を交わした。しかしMOUは繰り返し改訂され,2006年9月には共同プロジェクト合意書(Joint Project Agreement:JPA)を締結し,商務省がICANNを管理する形が続いた。

 ICANNへの米国政府の影響力や,ICANNの閉鎖性については内外から批判の声が挙がっていた(関連記事1:「米政府はインターネット管理権を取り戻しかねない」,ICANN理事が危惧を表明,関連記事2:ドメイン名の総元締めICANN,「巨大な権限」と「閉鎖性」に非難の声,関連記事3:インターネット管理体制の協議機関新設へ,ただし米国主導型は変わらず)。

 今回,9月30日にJPAが期限を迎えるにあたり,ICANNと商務省はJPAを終了し,新たな確約(Affirmation of Commitments)に署名した。多国籍ベースのボトムアップ型管理で,オープン性と透明性を高めるとしている。

 米国政府は,各国政府の代表者から成るICANNの政府諮問委員会(Governmental Advisory Committee:GAC)に引き続き参加する。インターネット・コミュニティの代表者で構成する委員会が,ICANNの責任について3年ごとに見直しを行う。同委員会には,GAC会長,ICANNのCEO,諮問委員会や支持組織の関係者,個人の専門家などのほか,商務省の通信および情報補佐官も含まれる。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]