ITU(国際電気通信連合)は,チュニジアで開催している国連の世界情報社会サミットの準備会合で,インターネットの管理体制を協議する機関「Internet Governance Forum」を新設することを,現地時間11月15日に明らかにした。2006年に,国連主催で第1回の会合を開く予定である。

 米メディア(InternetNewsCNET News.com)によると,同会合ではドメイン名の管理を,米国の非営利組織ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)から,より中立的な国際団体に移管すべきかが論点の一つだった。現在は米国がインターネット統治の立場にあるため,トップレベルの「com」「org」「jp」といったドメイン名の割り当ては,どの国もICANNの承認を得なければならない。しかし,米国主導の現状維持から進展がないまま,会合は終了したという。

 別の米メディア(InfoWorld)によると,米国国務省の大使であるDavid Gross氏は,「インターネットの技術的な部分やコンテンツなどを管理する国際機関の設置も検討されていたが,最終的には議題とならなかった。米国とICANNが果たす役割は,これまで通り変更はない」と述べている。

 2年前のサミットで,中国,ブラジル,ロシアなどが“米国支配”のインターネットに懸念を示したのを皮切りに,欧州連合もインターネットの管理を多くの国に開放すべきだという立場を取っているという。

 会合の参加国が署名した合意書に,インターネット管理の「協力体制の強化」というフレーズが盛り込まれていることから,「ICANNの役割は変わらずとも,その管理については変革が必要」(EU,Information Societyの広報担当官Martin Selmayr氏)と見る向きもある。

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