米Yahoo!のCEOであるCarol Bartz氏は2009年6月第1週,「当社は米Microsoftからのしつこい提案を受け入れない方がうまくと思う」と述べ,全く提携しない方が将来を「見通しやすい」とした。そのうえ,現在想定されているMicrosoftとの提携が実現すると,独占禁止法(独禁法)に基づく調査の対象にされる可能性があるとした(関連記事:MicrosoftとYahoo!の協議再開は何を意味するのか)。

 同氏は「当社がMicrosoftと何らかの提携をする必要など完全にない。当社の将来は間違いなく明るく,Microsoftとかかわらない方がより明るく分かりやすくなるはずだ。Microsoftという言葉を耳にしないで済むのなら,どんなに楽だろう」と話した。同氏にしてみれば,Microsoftとの提携がうわさされることで,「当社の経営は順調であり,Microsoftの力を借りなくても検索市場でうまくやっていける」という事実がかき消されてしまうのだろう。さらに同氏は「検索サービスは当社の1事業に過ぎない」としている。

 現在のWeb検索市場は,インターネット大手の米Googleが約60%を掌握しており,Yahoo!のシェアは20%,Microsoftは約8%だ。ただしBartz氏は,20%という数字は少数派だが小さくないとし,「当社がWeb検索市場の20%を占めていることは,比較的重要である。本当に必要なことは,ユーザーを増やし続けることだ」と述べた。

 同氏はとても興味深いアイデアも披露した。Yahoo!が検索サービスの運営をMicrosoftに任せると年間5億~7億ドルの経費を削減できるものの,逆にMicrosoftがインターネット事業をYahoo!へ売却した方がよいはずだという。同氏はMicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏にこのアイデアを提案したそうだ。しかし,Microsoftにとってはおなじみの問題が起きる。両社はWeb/メール/インスタント・メッセージングといったサービスでそれぞれ大きなシェアを持っており,提携すると独禁法違反の懸念が生ずる。

 Microsoftは6月1日(米国時間),改良版インターネット検索サービス「Bing」(ベータ版)を開始した(関連記事:米MSの新検索サービス「Bing」が前倒しでオープンMicrosoftの新検索エンジン「Bing」はユーザーの意思決定を支援する)。ところがBartz氏は「BingはMicrosoftの宣伝ほど優れていない。確かに面白いが,極めて興味深いというほどではない」とした。