米Microsoftと米Yahoo!の代表者は,提携の可能性を見極める目的で定期的な協議を始めた。可能性としては,広告事業の相互運営が考えられる。例えば,Yahoo!がMicrosoftのディスプレイ広告事業を運営し,Microsoftが検索広告事業を担当するといった具合である。ただし,MicrosoftによるYahoo!検索事業の完全買収が議題に残っているかどうかは不明だ(関連記事:MicrosoftとYahoo!が検索広告事業の提携で交渉---米メディア各社が報道)。

 MicrosoftがYahoo!を丸ごと買収する,というシナリオは消えた。Microsoftは2008年,低迷中のインターネット企業であるYahoo!に446億ドルで買収を持ちかけたが,強行に拒否されたのだ。その後Yahoo!の舵は,Yahoo!の独立性維持派で検索事業を価値のある財産とみなす新CEOのCarol Bartz氏が取っている。

 実現する可能性が高いシナリオは,検索または広告,もしくはその両事業に関する何らかの協業だろう。現在のYahoo!は,業界トップの米Googleに大きく差を広げられた2位企業に過ぎず,3位のMicrosoftはさらに水をあけられている。Googleの世界市場シェアは,オンライン広告市場で80%,オンライン検索市場で72%に達する。そのためYahoo!とMicrosoftの両者で,それぞれ単独では実行不可能な戦略を打ち出してGoogleの市場支配力に対抗していく必要がある。