米Microsoftと米Yahoo!が検索および広告事業分野の提携について交渉を始めたと,米メディア各社が米国時間2009年4月10日に報じた。Microsoft最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏とYahoo!のCEOであるCarol Bartz氏が前週会談したという。

 米Wall Street Journal米New York Timesによると,交渉はまだ初期段階で,対象は広範囲にわたる。MicrosoftによるYahoo!買収ではなく,広告の共有などに焦点が当てられ,MicrosoftがYahoo!に検索広告を販売し,Yahoo!がMicrosoftにディスプレイ広告を販売するといった提携について話し合った。

 両社の間では昨年,買収騒動が繰り広げられた。Microsoftは2008年2月,Yahoo!に総額446億ドルの買収を提案したことを発表(関連記事:「1社が支配するネット広告市場を変える」,Yahoo!買収提案でMSがGoogle対抗をあらわに)。5月に買収額を1株当たり33ドルに引き上げたが,Yahoo!が1株37ドルという価格に固執したため買収を断念した(関連記事:【速報】Microsoft,Yahoo!への買収提案を撤回)。その後,Yahoo!全体ではなく検索事業を買収することで両社は交渉を再開したものの,意見が折り合わず6月に交渉を打ち切った(関連記事:Yahoo!とMicrosoftの交渉打ち切り,「全社的または部分的買収は無い」)。同時にYahoo!は,米Googleとのオンライン広告に関する提携を発表した(関連記事:Yahoo!がGoogleのオンライン広告を採用へ,非排他的提携で合意)が,当局やプライバシ団体が強い懸念を示したため,この提携は最終的に解消された(関連記事:GoogleとYahoo!が検索広告事業の提携を解消,当局の懸念を払しょくできず)。

 Yahoo!はMicrosoftの提案を断って以来,株価が下降し,業績も低迷。2008年11月にJerry Yang氏がCEOを退任する意向を明らかにし,2009年1月に,米Autodeskの元会長だったBartz氏が新CEOに就任した(関連記事:Yahoo!,元Autodesk幹部のCarol Bartz氏が新CEOに)。

 一方MicrosoftはGoogleに対抗すべく検索事業に引き続き注力。検索サービスを「Kumo」という新ブランドで展開する計画と噂されている(関連記事:Microsoft,オンライン・サービス「Office Live」「Windows Live」の統合を計画)。また,今年1月5日付で元Yahoo!幹部のQi Lu氏がMicrosoftオンライン・サービス・グループ担当プレジデントに就任している(Microsoftのプレス・リリース)。