米Microsoftは2009年5月28日(米国時間),検索エンジン「Windows Live Search」の次世代版のブランド名を「Bing」にすると発表し,広まっていたうわさを認めた。現在,同社はBingを「Kumo」という開発コード名で試験しており,2009年後半にWindows Live Searchと入れ替えるという。Bingのベータ版は6月3日に一般公開する予定だ(関連記事:Microsoft,検索エンジンの新ブランド「Bing」を発表Microsoft,オンライン・サービス「Office Live」「Windows Live」の統合を計画)。

 ご存じのようにMicrosoftの検索エンジンは,確固たる地位を築いている米Googleや米Yahoo!といったライバルの競争相手と呼べる存在にはなっていない。そこでMicrosoftは,「意思決定エンジン」としてBingを開発した。つまり,一般的な検索エンジンよりも信頼性の高い検索結果で,ユーザーの意思決定を支援するサービスだというのだ。さらに同社は,人気があるものの複雑な検索サービスを数多く用意し,ライバルの検索エンジンと差別化するとしている。例えば,ショッピングや旅行,ニュース,健康,地図,画像,ビデオといった分野の検索を可能にする。

 MicrosoftのLive Search担当ディレクタであるStefan Weitz氏は,先日のミーティングで「何か決めることがあるのなら,まずBingを試してほしい。ただの捜しものなら,別にどの検索エンジンを使っても構わない。だが,より信頼性の高い決断を下したければ,Bingが時間と金の節約になるだろう」と筆者に話した。

派手な結果表示画面でユーザーの“決断”を支援

 Bingの検索ページは魅力的で派手だ。検索対象分野は,分かりやすくリンクから選べるようになっている。特に優れているのは,特定の商品を買ったり旅行の予約をしたりするといった複雑な検索操作が,すべてBing内で済ませられることだ。素っ気のない単純な一覧形式のリンクをいちいちクリックして確認するのではなく,その場ですぐに再検索が行える。Bingの旅行検索機能はとてもうまく設計されており,同社の航空券購入支援サービス「FareCast」の価格予測機能を統合している。また,同社のキャッシュバック・プログラムとも連携しており,同プログラム対応Webサイトで買い物をすると,自動的にユーザーのPayPalアカウントへ払い戻しが行われる。

 BingがGoogleの各種サービスを上回っている項目は,検索対象分野のほかにも数多くある。検索結果は巧みに整理/フィルタリングされるので,無駄なリンクだらけの巨大な一覧を見る必要がない(希望すれば巨大な一覧も表示できる)。さらに,コンテクストと関連性のある選択肢をサイドバー方式の一覧から指定すると,検索結果を簡単に絞り込める。例えば音楽に関する何かを検索すると,Bingは画像/楽曲/歌詞/チケット/商品/音楽アルバム/ミュージック・ビデオなどのフィルタを生成するとともに,関連する検索結果一覧を表示してくれる。その結果,探しているものを短時間で見つけられる。

 Bingの検索結果そのものは,分かりやすく操作しやすい別のページに表示される。ここでも音楽に関する検索操作を例として使おう。検索結果は先ほどと同じフィルタで分けられた一覧表示となり,フィルタごとに先頭の数項目だけが見える。隠された検索結果はリンクにまとめられ,必要に応じて詳しく調べられる。

 当然浮かぶ最大の疑問は,Bingに施されたこれらの改良がユーザーを増やす十分な魅力となるかどうかだ(実際にBingは,われわれの馴染んでいるGoogleと似たタイプの検索エンジンが面白みのない画面になっていくのと比べ,改善されている)。

 Bingの詳細については,SuperSite for Windowsに掲載した筆者のレビュー記事(英文)を読んでいただきたい。