写真●富士通フォーラム2009で講演する富士通の野副州旦社長
写真●富士通フォーラム2009で講演する富士通の野副州旦社長
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 「今までオーストラリアはアジアパシフィックの一地域と認識していたが、グローバルな視点でビジネスモデルを見たら英国そっくりだった」。富士通の野副州旦社長は2009年5月14日、東京・有楽町で開催している「富士通フォーラム2009」の基調講演で、オーストラリアにおける事業拡大の背景を明かした。英国法人での成功パターンが通用すると判断して、オーストラリア企業を続けて買収したというわけだ。

 富士通は以前から「Think Global, Act Local」を標語に掲げ、グローバル展開を進めてきた。だが「実際は、Act Localの部分を重視しすぎており、Globalで物を考えるということができていなかった」と野副社長は反省する。

 そこで08年にグローバルでのオペレーションを、北米やヨーロッパなどの地域ごとから、リチャード・クリストウ経営執行役上席常務に一元化するなど、グローバルな視点での経営を支える体制を築いた。

 その結果、冒頭の事実が判明したため、オーストラリアを英国の富士通サービス(FS)の下に置く体制に変えた。今年3月には通信会社テルストラのIT子会社KAZ社を、4月にはSAPのコンサルティングを手がけるSupply Chain Consulting社を立て続けに買収し、オーストラリア3位のIT会社に成長した(関連記事1)。

 富士通は今年4月、2010年にグローバルでサーバー50万台、シェア7%を目指すとする目標を掲げた(関連記事2)。野副社長は「グローバルで共通の数値目標を持つのは今回が初めて」と語る。今までは各地域での販売目標を集計したものが、結果としてグローバルでの目標になっていた。

 野副社長は「今現在の富士通には、グローバルでサーバーを50万台売る体制も組織もない」と語り、「この実現のためには、必ず富士通自体が変革する必要がある。今までにない厳しい目標を自らに課し、変革し続けていくことが重要」と続けた。