写真●NTTドコモの山田隆持社長
写真●NTTドコモの山田隆持社長
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 NTTドコモは2009年4月28日,2008年度通期の決算を発表した。売上高は前年同期比2638億円減となる4兆4480億円,営業利益は同226億円増の8310億円の減収増益となった。売上高の減少は,「ファミ割MAX50」や「ひとりでも割50」など新たな割引サービスの普及によって携帯電話収入が減ったため。増益の主な要因は,端末販売台数の落ち込みによって調達費用が減少したことによる。

 同社の山田隆持社長(写真)は「金融危機以来,消費が冷え込み先行きが不透明となる中,ドコモは2008年10月に新たな成長を目指した中期ビジョンを策定した(関連記事)。ユーザー視点で満足度向上に努めた結果,解約率は0.5%まで下がり,純増数は回復基調になった。手ごたえを感じた年だった」と話した。

 2009年度の業績予想は,売上高が4兆3820億円,営業利益が8300億円と,2008年度のほぼ横ばいを見込む。設備投資費は2008年度の7376億円に対して,微減となる6900億円を予想する。

2009年度の端末販売台数は「2008年度の微減に抑えたい」

 2008年度は業界全体として端末販売台数が急激に落ち込んだ年だった。ドコモの2008年度の総販売台数も,前年度比21.8%減となる2013万台に落ち込んだ。この数字について山田社長は,「当初は25%ほど落ち込むと思っていたので,よく踏みとどまったと思う。第4四半期の春商戦で持ち直した影響が大きい」と説明。2009年度の販売台数は1970万台と微減を予想する。「魅力的な端末などを出して,この程度の落ち込みに抑えたい」(同)とした。ただ端末の機種数については,これから減っていく見通しを示した。

 なお今回の決算では,これまで公開していなかった携帯電話の法人契約数も明らかにした。2008年度の法人契約数は660万契約。2009年度は40万増となる700万契約を目標とする。

2009年度は「着実なステップを踏む年」に

 山田社長は併せて,2009年度の事業運営方針も説明した。2009年度は「さらなるユーザーの満足度向上を図りつつ,中期ビジョンの実現に向けて“着実なステップを踏む年”」(同)と位置付ける。具体的な方向性としては,(1)ユーザーの満足度向上のための,アフター・サービスの強化や料金体系の見直し,(2)動画コンテンツによるデータ利用の拡大,(3)パーソナル化やホームエリア・サービスなどによる新たな収益源の創出,(4)コストの効率化,(5)CSR(企業の社会的責任)への取り組みの強化を挙げた。

 料金体系の見直しでは,5月1日からパケット定額サービス「パケ・ホーダイ ダブル」(関連記事)とスマートフォン向けパケット定額サービス「Biz・ホーダイ ダブル」の下限を従来の1029円から490円に値下げする。

 同社は世界の先頭集団に合わせて2010年からLTEを導入することを表明しているが,山田社長はLTEの設備投資のイメージも説明した。まだ決定事項ではなく予想としながらも,「LTEはW-CDMAのネットワークにオーバーレイする形で,4~5年かけて全国の主要都市に広げる。そのコストは3000億~4000億になるのではと思っている。トータルの設備投資費は年7000億円を切る数字を維持していきたい」(同)とした。