写真●NTTドコモの山田隆持代表取締役社長
写真●NTTドコモの山田隆持代表取締役社長
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 NTTドコモは2008年10月31日,2008年度上半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比2.5%減の2兆2678億円,営業利益は同41.2%増の5769億円と減収増益だった。

 減収の最大の要因は,携帯料金収入の減少。「ファミ割MAX50」「ひとりでも割」など割引サービスの契約率は9月末で50%以上,端末販売時のバリュープランの契約数は9割以上で推移しており,収益を押し下げた。

 一方で,販売奨励金で値引きをしない新たな販売モデルを導入したことで,携帯電話の販売数が大きく落ち込んだ。上半期の端末の総販売数は1026万5000台と,前年同期比でマイナス20%の大幅減である。ただし,これにより,販売奨励金の削減に加え,端末原価と代理店手数料が減少し,利益を押し上げる結果となった。

年度内にmovaの停波スケジュールを決定

 2008年度通期の業績予想については,営業利益8300億円に据え置いた。携帯電話収入は,パケットARPUの向上により当初予想より440億円増を見込む。その一方で,2012年7月に停波が決まっている第2世代携帯電話(2G)サービス「mova」関連設備の繰り上げ償却費用に310億円の積み増しを予定する。これらの相殺により,利益水準に変化はないと予想した。

 なお,movaのサービス停止スケジュールは,2009年3月までに決定する方針を示した。movaを使用しているユーザー約800万人に対しては,FOMAへの乗り換えを促す販売キャンペーンを実施する。

年末商戦では巻き返しを宣言

 また同社は決算発表に合わせて,2012年度に向けた同社の方向性を示す「新たな成長を目指したドコモの変革とチャレンジ」を公表した。「上期の決算は,厳しい経済状況の中で順調な結果を示すことができた。これを受け,下期に何をしていくかといえば,将来のドコモの成長につながる施策を打っていくべきと考えている」(NTTドコモの山田隆持代表取締役社長)。

 山田社長は「モバイルの市場は量的な成長は飽和状態にあるが,質的にはまだ進化する余地がある」として,新たな技術やサービスで活性化を目指す方針を示した。具体的な例としては,携帯電話が個人の行動パターンやし好にあった情報を配信してくれるエージェント機能を端末に搭載。いつも利用している電車が事故で運行停止になったら自動的に通知するといった行動支援を実現する。

 動画サービスも拡充するほか,Super 3G(LTE:long term evolution)による高速ネットワークの構築も進める。将来的には,携帯電話のGPS機能などを使って不特定多数のユーザーの行動をとらえる膨大なデータを集めることで,街づくりや道路の設計など社会の高度化を支援する構想もある。こうした取り組みを通して,2012年度には営業利益9000億円以上を目指すという目標も示した。

 上半期では20%減と端末販売は大きく落ち込んだが,通期では前年比15%減の2200万台を想定する。「年末商戦に向けた新モデルでは,エージェント機能やタッチパネルを搭載した新モデルでユーザーに訴求する」(山田社長)と,下半期での巻き返しに意気込みを見せた。

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