CIO百人委員会であいさつする委員長の渡辺捷昭・トヨタ自動車代表取締役社長
CIO百人委員会であいさつする委員長の渡辺捷昭・トヨタ自動車代表取締役社長
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「CIO戦略フォーラム」について報告する遠藤紘一・リコー取締役副社長執行役員
「CIO戦略フォーラム」について報告する遠藤紘一・リコー取締役副社長執行役員
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「行政CIOフォーラム」について報告する鍜治克彦・経済産業省情報政策課長
「行政CIOフォーラム」について報告する鍜治克彦・経済産業省情報政策課長
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発足した「CIO百人委員会」のメンバー
発足した「CIO百人委員会」のメンバー
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 経済産業省は、企業と行政機関(中央省庁と地方自治体)のCIO(最高情報責任者)らで構成する「CIO百人委員会」を発足させた(関連記事)。2009年3月26日に東京都内で第1回の委員会を開いた。

 CIO百人委員会は、官民のCIOの交流を促し、業務改革やIT活用に関する知見を共有することを目指す。リコー、トヨタ自動車など日本を代表する企業のCIOが集まって開催してきた「CIO戦略フォーラム」(関連記事)と、中央省庁や横浜市・東京都三鷹市といった先進自治体のCIO、CIO補佐官で構成する「行政CIOフォーラム」の2委員会のメンバーが参画している。

「ムダ・ムラ・ムリ」を排除しなければITは機能せず

 CIO百人委員会の委員長を務めるトヨタ自動車の渡辺捷昭・代表取締役社長は、「今は“100年に一度の危機”だと言われるが、変革とITの活用を進めるうえでは“100年に一度のチャンス”だ」とあいさつした。CIO百人委員会の重点目標として5つのポイントを挙げ、特に「ムダ・ムラ・ムリ」を排除すべきだという点を強調。「IT活用の前に、前工程と後工程が一体となったムダのない仕事の進め方が不可欠。自動車工場なら、検査部門の仕事をIT化するのではなく、検査部門をなくせるような不良品を生まない工程を考えるべき。そのうえでITを入れれば、とてもシンプルなものになるはず」と述べた。

 続いて、リコーの遠藤紘一・取締役副社長執行役員がCIO戦略フォーラムの活動報告をした。「地道な改善の積み重ねが改革につながる。情報システムだけの視点ではなく、業務における小さな課題を認識する問題感知力が問われる」と述べた。行政機関の情報化については、「民間企業の取り組みに対して、官は『我関せず』という状況がある。官と民でもっと一緒にやれることがあるはずだ」と指摘した。

 さらに、経済産業省の鍜治克彦・情報政策課長がCIO行政フォーラムの活動報告を行った。鍜治氏は「電子政府・自治体の取り組みには多くの課題がある。IT自体が目的化しているきらいもある。多くの行政機関でCIO・CIO補佐官の設置はほぼ完了したが、機能していない」と現状を分析。「電子政府のユーザーである国民や民間企業の目線をもっと取り入れなければならない」と話した。行政情報のオープン化についても強調。「政府や自治体は、明治時代以来、膨大な文書・台帳を紙などで保管・蓄積してきた。これをGoogleのように自在に検索できるようして再利用を促すプロジェクトを進めたい」と述べた。