米Microsoft事業部門担当社長のStephen Elop氏は2009年3月4日(米国時間),カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたMorgan Stanley Technology Conferenceの場で「2010年のリリース予定の次期オフィス・プロダクティビティ・スイート『Office 14』は,広告対応の無料版を用意する可能性がある」と話した。同氏によると,同社は広告入りバージョンが海賊版対策になると考えているという。

 同氏は「広告は収入源になる。この収入源に海賊版ユーザーを取り込むよい機会だ。こうしたユーザーをWindowsに引き込みたいと考えている。将来の売り上げ増加につながる可能性がある」と述べた。

 同氏は,もしかしたら2010年に従来型Office 14と同時リリースするWebブラウザ対応オンライン・アプリケーション・サービス「Office Web Applications」のことを指しているのかもしれない。かつてMicrosoftは,同サービスを広告に対応させると発表したことがある(関連記事:[PDC 2008]Microsoft,次期「Office」はWebアプリ版「Word/Excel/PowerPoint/OneNote」も提供)。ただし,同社は何年も前からOfficeの新たな収入モデルを検討し,様々な会費制サービスを試行してきた。最近の例としては,先日打ち切りを発表した,「Office 2007」と「Windows Live OneCare」を一括提供する年額制パッケージ製品「Equipt」がある(関連記事:Microsoft,OfficeとWindows Live OneCareの年額サービスEquiptを4月末で停止)。

 Windowsと同じく,Officeの最大のライバルはもはやライバル企業の競合製品でない。Officeは,米Googleのオンライン・アプリケーション「Google Doc」やオープンソース・オフィス・スイートの「OpenOffice.org」などよりも,Office自身の海賊版と戦っている(関連記事:MicrosoftがライバルとしてGoogleを指名)。現在のところ海賊版OfficeはMicrosoftの売り上げに全く貢献していないのだから,海賊版対策は意味のある取り組みだ。