米Microsoftがライバルとしてとらえている企業はどこになるのだろう。MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は,2年前から世間の常識とされていたことをついに本人から口にした。「パソコンOS市場で当社に立ちはだかる次のライバルは米Googleになる」といったのだ。これまでパソコンOS市場で競ってきたLinuxやAppleは,残念ながらMicrosoftのライバルといえるような存在にはなり得ていない。

Take1:Ballmer氏,「パソコンOS市場の次なるライバルはGoogle」


 同氏は2009年2月最終週,「GoogleがモバイルOS『Android』をネットブックやそのほかのパソコンに移植するので,当社はパソコンOSとモバイルOSの境目をあいまい化させて対抗していく。パソコンOS市場におけるGoogleとの競争は,以前に比べ激しくなるだろう。携帯電話機向けとパソコン向けにOSを区別する状況が変わる」と述べた。

 これは十分に納得できる話である。アプリケーション・ソフトウエア/モバイル用ソフトウエア市場への進出に固執するGoogleの姿勢をみれば,次はパソコン分野に手を出すはずだ。特に,パソコンの使い方が従来のオフライン中心からオンライン・アプリケーションを組み合わせる形へと変化しつつある状況も,この話の根拠となる。

Take2:WindowsのライバルにはなれないMacintosh

 これに対して,パソコンOS市場における「Windows」の競争相手といえばだれになるのだろう。Linuxが一度もライバルの立場になっていないことは常識だ。ならば,米Appleはどうだろうか。事実,技術系サイトでは,Appleがパソコン市場で続けているらしい躍進に関する記述を必ず目にする。

 ところが,Ballmer氏によると,Appleは報告されるほど躍進していないという。同氏の見解は正しい。例えば,2008年第4四半期における「Macintosh」のパソコン市場シェアを実販売台数ベースでみると,世界市場で3.2%に過ぎず,米国市場でも5%を切っている(Appleは北米および南米向けの数字を「米大陸」としてまとめて発表するため,米国市場の実績は調べにくい)。

 AppleはWindowsにとってナンバー2のライバルですらない。Windows最大のライバルは,Macintoshでなく海賊版Windowsである。