総務省は2008年7月23日,情報通信審議会 情報通信技術分科会 携帯電話等周波数有効利用方策委員会の第31回会合を開催。(1)2GHz帯におけるTDD方式を活用した技術的条件,(2)3.9世代移動通信システム導入に向けた基本コンセプト案,の二つについて議論し,29日開催の同分科会に報告・提示する運びとなった。

 (1)は同委員会の下部組織である「2GHz帯TDD方式技術的作業班」で検討が進められていたもの。ここで言う2GHz帯とは,元々2005年11月にアイピーモバイルに割り当てられ,その後同社の資金繰り悪化により2007年10月に返上された周波数帯(2.01G~2.025GHzの15MHz幅)を指す。

 2GHz帯TDD方式技術的作業班では,2GHz帯の技術方式として,モバイルWiMAX,IEEE802.20 625k-MC,次世代PHS,UMB-TDDおよびIEEE802.20 Wideband,E-UTRA TDD(LTE TDD)の各TDD(time division duplex)方式の技術的条件を検討。このほか別の議論としてFDD方式の第3世代携帯電話(3G)システムであるW-CDMA (HSPA)の技術的条件を併せて検討し報告書案を作成。6月10日から7月9日まで意見募集に付されていた。

 本日の委員会では1件の賛同意見が紹介された後,一部海外動向の記述変更などを含めて報告書案を了承。今月28日に開催される情報通信審議会 情報通信技術分科会で審議され,答申を得る予定である。その後,総務省で制度整備を進める。

 (2)は同じく同委員会の下部組織「IMT-2000高度化作業班(3.9G作業班)」で検討が進められていたもの。7月1日に同作業班の会合で提示された基本コンセプト案(関連記事)をベースに議論が進んだ。

 基本コンセプト案では,3.9世代移動通信システムの基本要件として,下り伝送速度100Mビット/秒以上,上り伝送速度50Mビット/秒以上,周波数利用効率は3.5世代(HSPA Release 6)の3倍以上(下り)などを提示。技術例としてはLTEなどを挙げていた。併せてHSPAを高度化するHSPA Evolution(HSPA+)やDC-HSDPA(dual cell-HSDPA)についても標準化動向を踏まえつつ検討を行うと付記された(関連記事)。

 本日の委員会でこの基本コンセプト案を了承。(1)と同じく29日に開催される情報通信審議会 情報通信技術分科会に報告・提示される。その結果を受けて具体的なシステムの検討に入る予定である。その後,システムの技術的条件および運用条件の検討などを経て,12月上旬までに報告案をとりまとめる計画で,12月11日開催予定の情報通信審議会で答申を得たいとしている。このスケジュール通りに進めば,2009年にも3.9G導入へ向けた制度整備が開始され,2010年以降にサービスを開始したい(関連記事)とするNTTドコモなど携帯電話事業者の動きも現実味を帯びてくる。