日本システムアナリスト協会(JSAG)が策定を進めている、システムアナリストの知識体系「SABOK(Systems Analyst Body Of Knowledge)」が近く登場する。2008年7月をメドに一部内容のドラフト版を、08年中に同第1版を提供する予定だ。

 ビジネス・アナリストの知識体系「BABOK(Business Analyst Body Of Knowledge)」の日本語版も早ければ年内に登場する予定(日経コンピュータ6月1日号22ページ参照。ほかに関連記事1関連記事2)。経営とITの橋渡しをする際に参考になる知識体系が一気に増えることになる。

 システムアナリストは、情報処理技術者試験の認定資格の一つ。IPA(情報処理推進機構)は「経営戦略に基づく情報戦略の立案、システム化全体計画及び個別システム化計画の策定を行うとともに、計画立案者の立場から情報システム開発プロジェクトを支援し、その結果を評価する者」と説明している。2009年からの新試験制度では、システムアナリストは上級アドミニストレータと統合した「ITストラテジスト」となる。BABOKの対象であるビジネス・アナリストと類似しているが、事業戦略の策定などBABOKより経営戦略に近い活動も担うとしている。

 SABOKは、新試験制度やITSS(ITスキル標準)、UISS(情報システムユーザースキル標準)などが登場するなか、システムアナリストの位置付けを明確にするのが狙い。(A)概要編、(B)テクニカルスキル編、(C)コンセプチュアルスキル編、(D)ヒューマンスキル編、(E)用語集で構成する。

 現在、(B)を先行して策定を進めている。(B)は「事業戦略立案」「プロジェクトマネジメント」「IS企画」「IS保守・運用」「システム監査」などの章で構成する。JSAGでSABOK研究会を主導する田中浩之氏は、SABOKは「BABOKに比べ、より実践的なガイドラインになる」と話す。

 ほかに(A)は「システムアナリストとは」「システムアナリストが関連する専門領域・機能」、(C)は「ロジカルシンキング」「問題解決の方法」、(D)は「リーダーシップ論」「意思決定論」などの項目を予定している。

 SABOKは当面、JSAGの会員向けという位置づけで、一般公開の予定はない。(A)から(E)までの内容が整備されれば、BABOKと同様に無償または有償で公開する可能性もある。