写真●UQコミュニケーションズの田中孝司代表取締役社長
写真●UQコミュニケーションズの田中孝司代表取締役社長
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 KDDI系のモバイルWiMAX事業者は2008年3月3日,3月1日付けで社名を「UQコミュニケーションズ」に変更したと発表した。同時に2月28日付けで増資し,資本金と資本準備金の合計を170億円にしたことも明らかにした。2009年2月の試験サービスに向け,ネットワークの建設を開始する。

 新社名の「UQ」は「Universal Quality」から由来する。「大らかなスケール感や揺るぎない信頼感を表現した」(UQコミュニケーションズの田中孝司代表取締役社長,写真)。同社の取締役は,株主であるKDDI,インテル,東日本旅客鉄道(JR東日本),京セラからの人員で構成する。2008年4月1日までに,株主からの出向や中途採用で社員を約100人に増員する予定。

 同社は2007年8月29日に,モバイルWiMAXの事業化を狙う企画会社「ワイヤレスブロードバンド企画」として設立された(関連記事)。同12月21日に総務省からモバイルWiMAXの事業免許(特定基地局の開設計画の認定)を受け,正式にモバイルWiMAX事業を展開できる立場になっていた(関連記事)。今回,企画会社から事業会社に衣替えし,サービス開始に向けた準備を本格化する。

インフラのベンダーに富士通,サムスン,日立,CTCを選定

 今回の発表では,インフラ設備のベンダーや今後のスケジュールも公開した。設備ベンダーとしては,基地局を富士通と韓国サムスン電子,センター設備を日立製作所と伊藤忠テクノソリューションズに決めた。これらのベンダーに決めた理由は「価格,品質,納期が最も適正だった」(田中社長)とした。

 2008年6月から基地局の設置を開始し,試験サービスを始める2009年2月までに東京23区や横浜市などで最低600局,商用サービスを始める2009年夏までに東京・名古屋・大阪で最低1500局を通信可能な状態にするという。「設備投資を前倒ししてでも,一気に基地局を設置していく」(田中社長)。2009年度末には政令指定都市へエリアを拡大し,2010年度末には全国の主要都市をカバーする計画だ。

 また3月5日までの予定で,JR東日本と共同で駅構内や地下での電波伝搬実験を実施中。その結果を見てJR駅構内への基地局展開を行い,さらには地下鉄や地下街への基地局設置も順次交渉を進める。

 自社網の展開と並行して提携先との交渉を開始する。3月21日には,同社のWiMAXネットワークを借りたいMVNO(仮想移動体通信事業者)向けの説明会を開催する予定。このほか,固定系地域バンドを利用する事業者(関連記事)とは相互ローミングを含めた提携を検討したいとしている。

 国際ローミングの検討も進めており,すでに韓国KTとはローミングを行う方向で議論を開始しているとした。4月からは米スプリント・ネクステルとのローミングの検討を始めるという。

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