写真●ワイヤレスブロードバンド企画の田中孝司代表取締役社長
写真●ワイヤレスブロードバンド企画の田中孝司代表取締役社長
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 ワイヤレスブロードバンド企画(WBB企画)は12月21日,2.5GHz帯の開設計画の認定を受け,今後の事業方針の説明会を開催した。2009年2月に試験サービスを開始し,2009年夏には商用サービスに移行するという。「試験サービスの段階で東京23区と神奈川県横浜市をカバーする。おそらく,事前に興味のある一般ユーザーも含めて広く募る形を取る。参加してもらえるのであれば,MVNO(仮想移動体通信事業者)にも参加してほしい」(田中孝司代表取締役社長,写真)とした。なお,同社にはKDDIやインテル,JR東日本,京セラなどが出資している。

 商用サービスでは,2012年度末に人口カバー率90%を超えるまでエリアを整備する。そのため,「2012年度までに屋外で1万9000の基地局を設置する。これとは別に,屋内対策の小型基地局も約1万9000局の設置を計画している」(田中社長)とした。サービスの料金は約5000円以下の定額制を想定。1ユーザー当たりの平均収入は1カ月当たり3200円と予想。

 ユーザーの利用形態は,主にパソコンを利用したデータ通信を想定する。端末として,ノート・パソコン以外にもUMPC(ultra mobile PC)やMID(mobile internet device)の利用拡大を狙う。さらに,人口カバー率が広がるにしたがって,ゲーム機や家電,電子ブック・リーダーへの通信機能の内蔵,テレメトリングやエレベータの監視といった組み込み用途に広がると説明した。「2013年度末までに約560万人のユーザー獲得を目指している。うち,約350万人がパソコン,UMPC,MIDを利用するユーザーで,それ以外が組み込み用途のユーザーだと予想している」(田中社長)。

 企業の業績としては,2013年度に1450億円の売上高を目指す計画だ。田中社長はその内訳にも言及し,「収入の大部分は,パソコンやUMPC,MIDを利用するユーザーからになるだろう。トラフィックの少ない組み込み用途はあまり大きな収入にはならない」とした。

 MVNOについては,「2008年春に説明会を開催する。接続約款も準備するつもりだ」(田中社長)と積極的に受け入れる姿勢を見せた。KDDIとの連携については,「ワイヤレスブロードバンド企画自身としては,あまり深い連携はないと思っている。MVNOの1社であり,我々としてはMVNO間を差別して扱うつもりは全くない」とオープン性を強調した。

 また,事業を開始するに当たり,会社の規模を拡大する。現在の資本金は8億5000万円だが,2008年2月までに170億円に増資する。増資は,現行の株主がそのままの比率で引き受けるとした。また,役員を含めて40人の従業員を,2008年4月までに約100人へと増員。中期的には700人規模に増やしていく計画だ。