写真1●パソコン向けのMediaFLO USBチューナー。今回が初展示になるという。
写真1●パソコン向けのMediaFLO USBチューナー。今回が初展示になるという。
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写真2●MediaFLO版“ニコニコ動画”。視聴者が投稿したコメントが,映像の下半分にリアルタイムで表示される。コメントも映像と同じくMediaFLOの放送波を使って送信している。
写真2●MediaFLO版“ニコニコ動画”。視聴者が投稿したコメントが,映像の下半分にリアルタイムで表示される。コメントも映像と同じくMediaFLOの放送波を使って送信している。
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 クアルコムジャパンは11月28日,携帯電話向けマルチメディア配信技術「Media FLO」(関連記事1)を推進する業界団体「FLO Forum」が東京都内で開催したオープン・セッションの会場にて,ミニUSBコネクタで接続するMediaFLO受信機を展示した(写真1)。MediaFLOとは,米クアルコムが開発した携帯端末向けの放送技術。携帯電話とは別の放送用周波数を使って映像を配信する。米国では米ベライゾン・ワイヤレスが2007年3月から商用サービスを提供している。

 今回クアルコムが展示した受信機は,パソコンのUSBポートに挿すことで,パソコン上のアプリケーションでMediaFLOコンテンツを視聴可能にするもの。日本ではバッファローなどの周辺機器メーカーがパソコン向けのUSBワンセグチューナーを販売しているが,そのMediaFLO版と言える。会場では,実際に試験電波を飛ばしパソコン上でコンテンツを視聴する様子を披露していた。

 この受信機はもともと,2008年2月に開催されるモバイル関連の展示会「Mobile World Congress(旧名3GSM World Congress)」への展示を目指していたというが,「思いのほか試作機を開発できたので今回展示することになった。これが世界初公開になる」(クアルコム)。クアルコムとしては,携帯電話以外のさまざまなデバイスでもMediaFLOを利用してほしいとして,今回の試作機の開発に至ったという。

 このほか会場内では,クアルコムが「MediaFLO版ニコニコ動画」と呼ぶサービス例も展示していた(写真2)。MediaFLOの仕組みを使って受信した映像コンテンツに,視聴者がコメントを付加できるサービスだ。視聴者が携帯電話からMediaFLOの配信サーバーに向けてコメントを送信すると,即座に映像にコメントが重ね合わされて配信される仕組み。既にMediaFLOサービスを開始している米国でも,このようなサービスは始まっていないというが,「今後は携帯向け映像コンテンツではコミュニティの要素も重要になってくる。こうした使い方も積極的に提案していきたい」(クアルコム)という。

 なお日本国内でのMediaFLOの展開については,2011年7月のアナログ放送終了後に空く電波帯域を用いてサービスすることを目指し,関係各社が現在議論を進めている最中だ(関連記事2関連記事3)。KDDIとソフトバンク・グループは,それぞれMediaFLOの展開を検討する企画会社を設立。11月27日にはKDDI系の企画会社が日本国内での実証実験を開始している。