米MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は英ロンドンで10月第1週に開催した社内イベントにおいて,「米Red Hatの顧客に,当社への特許使用料支払い義務が生ずる」と述べた。このコメントは,Ballmer氏のスピーチ映像がインターネット配信され,明らかになった。

 Ballmer氏はスピーチのなかで「最終的にRed Hatユーザーは,当社に対価を払わなければならなくなるだろう。Red Hat製品を使用している人々は,少なくとも当社の特許をある程度尊重し,対価の支払い義務を負う」と話した。

 かねてからMicrosoftはオープンソースのLinux環境に特許を侵害されていると主張しており,ここ数年は米Linspireや米Novell,米XandrosなどのLinuxベンダーとクロスライセンス契約を結んできた(関連記事:LinuxディストリビュータのLinspire,かつての仇敵Microsoftと契約締結)。これに対し,Red Hatは交渉を行っているにもかかわらず今のところMicrosoftとの契約締結を拒絶している(関連記事:Microsoftの提案を拒んでいるLinuxベンダーたち)。

 Ballmer氏によると,Microsoftはベンダー固有ソフトウエアの世界とオープンソース・ソフトウエアの世界を橋渡しする「特許フレームワーク」の構築を望んでいるという。このフレームワークの管理下で,現在全く相いれないライセンス条件が適用されている両世界のソフトウエアを交流させるとしている。

 もっとも,そういう目標があるとしても,両陣営がすぐに合意できるとは思えない。Ballmer氏の脅しは問題解決の役に立たない。MicrosoftはLinuxによる特許侵害を主張しているが,これまで一度も具体的な侵害内容を公表しなかった。

 オープンソース支持者たちはMicrosoftの主張を,米SCO Groupがオープンソース・コミュニティを相手取って起こして先ごろ敗訴した,長期間かかった浅はかな「根拠のない告訴と驚くほどそっくり」と称している(関連記事:米SCOが敗訴,「UNIXの著作権は米Novellが保有」)。Microsoftが真剣にオープンソース界と交流するつもりなら,そろそろ実行するのか黙るのかを決める潮時だろう。