Linuxディストリビュータの米Linspire(旧社名は米Lindows)は米Microsoftと,Microsoftのインスタント・メッセージング(IM)およびデジタル・メディア技術をオープンソースのLinux OSに組み込む契約を結んだ。この物議を醸す契約は,Microsoftからみれば,この数カ月間に結んできた一連のLinux相互接続契約に含まれる最新の1件でしかない。しかし,Lindowsという社名で事業展開していた当時,Microsoftから訴えられたLinspireにとって,些細な戦略変更などでは済まない(関連記事その1その2)。

 LinspireのCEOであるKevin Carmony氏は「当社は絶えず選択肢に留意してきた。今回の(Microsoftとの契約に関する)発表は,相互接続性の改善,機能および信頼性の強化に向けた選択肢を提供するという,当社の伝統を受け継ぐものだ」と述べる。

 LinspireとMicrosoftはこの発表の中で,様々な互換性と相互接続性を確保するため協力する計画も明らかにした。両社は米Novellとともに,「Microsoft Office」文書と「OpenOffice.org」文書のあいだに存在する互換性問題に取り組む。LinspireはMicrosoftから,音声コミュニケーション用のIMコーデック,「Windows Media Player 10」の音声/ビデオ・コーデック,一連のMicrosoft TrueTypeフォントについて,ライセンス供与を受ける。さらに,Linspireは同社のLinuxディストリビューションのデフォルト検索エンジンとして,MicrosoftのWeb検索サービス「Windows Live Search」を採用する。

 当然この合意には,Microsoftがほかのオープンソース企業と最近結んだ契約でポイントとなっていた,知的財産に関する保証も含む。Microsoftとのこうした契約は,Novell,米Xandros,韓国のSamsung Electronics,韓国のLG Electronics(LGE)などが結んでいる(関連記事NovellSamsungXandrosLGE)。