ドイツのSAPは現地時間7月3日,同社の子会社TomorrowNowが米Oracleの著作権物であるドキュメントなどを一部不正ダウンロードしたことを認めた。

 Oracleは今年3月,同社プロプライエタリ・ソフトウエアのコードなどを不正入手したとして,SAPと同社米国法人SAP America,および子会社TomorrowNow,さらに50人のSAP従業員を提訴した(関連記事「Oracle,ソフトウエア・コードの不正入手でSAPを提訴」)。Oracleによると,SAPはOracleのカスタマ・サポート・システムへの「組織的な不正アクセスを実行」し,多数のソフトウエアおよびサポート関連著作物のコピーを入手したという。Oracleは,SAPの行為がコンピュータ詐欺や不正アクセスに関する連邦法とカリフォルニア州法に抵触するほか,予測される将来の経済利点に対する故意の妨害行為,不公正競争,民事謀議にあたると主張した。

 また6月には,「First Amended Complaint」と題する訴状を裁判所に提出し,著作権法違反と契約違反の申し立てを追加した(関連記事「Oracle,SAPに対する訴訟で『著作権法違反』と『契約違反』も追及」)。

 SAPはOracleの申し立てに対し,「TomorrowNowにおいて,ソフトウエアの修正およびサポートに関するドキュメントの不適切なダウンロードがあったことを一部確認した」と回答。ただしダウンロードしたドキュメントはTomorrowNowの個別のシステム上に有り,SAPおよびSAP AmericaがこれらOracleの知的資産にアクセスしたことはないと説明している。

 またSAPは,「適切な業務慣行の確実な遵守を目指し」(同社),TomorrowNowの経営体制を変更したことを明らかにした。SAP AmericaのCOOであるMark White氏が,TomorrowNowの執行会長としてコンプライアンス・プログラムを含む経営を監督する。

[発表資料へ]