米Oracleは米国時間3月22日,ドイツのSAPがOracleからプロプライエタリ・ソフトウエアのコードなどを不正入手したとして,カリフォルニア州北部の連邦地方裁判所に提訴した。SAPがOracleのカスタマ・サポート・システムに「組織的な不正アクセスを実行した」ことを発見したという。

 Oracleが訴えたのは,SAPと同社米国法人SAP America,および子会社TomorrowNow,さらに50人のSAP従業員。

 SAPは,Oracle製品からSAP製品への移行プログラム「Safe Passage」を展開しており,その一環としてOracleの「PeopleSoft」「JD Edwards」ファミリ製品に対するメンテナンスやサポートも提供している。

 Oracleによると,2006年11月後半から12月に,PeopleSoftおよびJD Edwardsアプリケーション向けのユーザー・サポート・サイト「Customer Connection」から「尋常ではない大量のダウンロードが行われた」(同社)。Customer Connectionはパスワード保護されており,有効なサポート契約を結んだ顧客にソフトウエア・アップデート,バグ修正,パッチを含むOracleの著作権物を提供している。ただし顧客は購入していない製品の関連物にはアクセスすることができない。この大量のダウンロードでは,認証済みの限定的なアクセスしかできない顧客が行った様子はないという。

 しかしSAPの従業員が,Oracleとのサポート契約の期限が切れている,あるいは数日以内に切れる顧客のログイン情報を用いて,Customer Connectionから多数のソフトウエアおよびサポート関連著作物のコピーを入手している。「現在までに数百種類のソフトウエア・プログラムに対して1万件以上の不正ダウンロードが行われた」(Oracle)。

 OracleはSAPの行為がコンピュータ詐欺や不正アクセスに関する連邦法とカリフォルニア州法に抵触すると主張。また,予測される将来の経済利点に対する故意の妨害行為,不公正競争,民事謀議にあたるとして,損害賠償と差止命令措置を裁判所に求めている。

[発表資料(プレス・リリース)]
[発表資料(訴訟申請書類)]