台湾・台北市で開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2007」では多くのスマートフォンが展示されているが(関連記事),各社の説明員は異口同音に「日本での販売予定はない」「日本のマーケットはユニークだ」と語る。そんな中でわずかばかりでも存在感を示していた日本の携帯電話事業者が,NTTドコモとソフトバンクモバイルだ。

米AMD製プロセッサを搭載したソフトバンクの「X01HT」を展示


写真1●米AMDのブースに展示されたソフトバンクモバイルの「X01HT」
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 ソフトバンクモバイルの携帯電話がさりげなく展示されていたのは,米AMDのブース。台湾High Tech Computer(HTC)製のX01HTがソフトバンクのロゴが入ったまま展示されていた(写真1)。展示されていた理由は,X01HTがグラフィックス処理や動画のエンコード/デコードなどを担うAMD製の携帯機器向けマルチメディア・プロセッサ「Imageon」を搭載しているからだ。

 X01HTのほか,韓国LG電子の「PRADA Phone」,米Motorolaの「RIZR Z3」「KRZR K1」「L9」などがAMDのImageonを搭載している製品として展示されていた。なお,ImageonはAMDが2006年10月に買収したカナダATI Technologies(関連記事)の携帯機器向けグラフィックス処理チップのブランド名である。

NTTドコモは徳広執行役員がビデオで登場

 一方,NTTドコモが登場していたのは,米IntelがCOMPUTEXに合わせて6月7日に開いたモバイル機器向けカンファレンス(関連記事)。登壇した米Intelのアナンド・チャンドラシーカ上席副社長が講演の最後にNTTドコモと米国の携帯電話事業者であるSprint Nextelの名前を挙げ,各社のプロモーション・ビデオを上映した。

 ビデオの中でNTTドコモの徳広清志執行役員(写真2)は,同社のおサイフケータイの事例などを挙げながら,Intelが掲げるUMPC(ultra mobile PC,写真3)への期待を述べた。またSprint NextelはWiMAXに対する期待を語った。なお,徳広執行役員が出演したビデオは,過去に開かれた米Intelのイベントでも流されている(関連記事)。


写真2●米Intelのイベントにビデオ出演したNTTドコモの徳広清志執行役員
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写真3●米Intelのブースに展示しているUMPCの試作機
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写真4●米Intelが2008年に提供予定の小型機器向けプラットフォーム「Menlow」の基板デザイン。WiMAX,WWAN(HSPAなど携帯電話のデータ通信)のチップ配置が示されている
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 いまやパソコンを主に製造していた台湾のメーカーがスマートフォンの製造に進出するなど,パソコン業界は携帯電話業界に急速に接近中。Intelが2008年に提供する予定のUMPCなどのプラットフォームである「Menlow」(コード名)は,WiMAXやHSPA(high speed packet access)などの無線ブロードバンドによる通信機能が必須となる(関連記事写真4)。WiMAXやHSPAは,いずれも免許や認可を得た通信事業者によるデータ通信サービスであり,単に機器に通信制御LSIを実装しただけでは利用できない。パソコン関連業界と通信事業者は今後ますます密接にかかわることになりそうだ。