The CentOS Projectは2007年5月17日,商用のRed Hat Enterprise Linux 4(RHEL4)のソース・コードを用いて独自にビルドしたLinuxディストリビューション「CentOS 4」の新バージョン「4.5」を公開した。

 CentOSは,公開されているRHELのソース・コードから,Red Hat社が知的財産権を持つ商標などの部分を取り除いて開発・提供されたフリーのLinuxディストリビューション。同じRed Hat系のLinuxディストリビューション「Fedora Core」に比べて安定稼働するため,サーバー用途などに使われるケースが増えている。

 同Projectはこの4月に,RHEL5のクローンである「CentOS 5」をリリース済みである(日経Linux2007年6月号の付録DVDに収録)。今回の4.5はそれよりも古いバージョンになるが,これはRed Hat社がRHEL5から開始した新しいアップデート・サービス「Z-Stream」に従ったものである。

 簡単にいうとZ-Streamは,旧バージョンのサポートを継続するサービス。旧版とアップグレード版は別々に管理され,旧版もリリース後18カ月間はメンテナンスされて更新ソフト等が提供される。RHEL5は既にリリースされているが,この3月にRHEL4.5がリリースされたのを受けて,CentOSも4.5がリリースされた。

 こうしたRed Hatの新サポート・サービスの特徴は,CentOS4.5が装備した新機能にも表れている。例えば,仮想化ソフトがその一つ。CentOS 4.5には,4.4には無かった「準仮想化ゲスト」機能が加わった。

 「Xen」などの仮想化ソフトは,1台の物理マシンで複数のOSを稼働できるようにするものだが,Red Hatは,この仕組みを“複数バージョンの同時稼働”のために積極的に利用する。実際,RHEL5(CentOS 5相当)は,既存のOSに変更を加えなくてもそのまま動作する「完全仮想化(フル・バーチャライゼーション)」と,高速に動作する「準仮想化(パラ・バーチャライゼーション)」の2つの動作モードに対応した。

 準仮想化の場合,専用のゲストOSが必要となるが,バージョン4.5は標準でゲストOSとなることができる。これにより,バージョン5上で準仮想化モードを稼働させれば,従来のバージョン4系統も同じマシン上で稼働し続けられるわけである。

 なお,CentOS 4.5には,準仮想化モードのゲストOSとして動かした場合,まだマウスの動きが不安定になるなどの問題が残っているという。