米Microsoftは,データベース・ソフトウエアSQL Serverの次版「Katmai」(開発コード名)について,あまり情報を出していない。「SQL Server 2005」のリリース当時,著者がインタビューしたMicrosoftのSQL Server部門担当副社長だったPaul Flessner氏は,一貫して「次版のリリースは,SQL Server 2005からわずか2年後に行える」と述べていた。2007年になったが,間もなくリリースされるはずのテスト版Katmaiに関するニュースは全く聞こえてこない。

 Katmaiリリースに関するニュースに近い情報としては,Mary Jo Foley氏が4月10日に投稿したオーストリー版TechNetブログに関するブログ記事があった(ただし,既に削除されてしまった)。このオーストリー版TechNetブログの記事は,どうやらKatmai向け技術導入プログラム(TAP,Technology Adoption Program)の指定開始に言及していたらしい。Mary Jo氏は,「KatmaiのTAPテストが2007年6月に始まる。テストはすべて非公開で行われる」という情報を探り出したのだ。Mary Jo氏によると,「bink.nuのSteven Bink氏がKatmaiのリリースは2008年とレポートしたが,Microsoftは肯定も否定もしなかった」という。

 著者は2週間前,3つ以上ある別のルートから「Katmaiのリリースは,Windows Serverの次版『Longhorn Server』(開発コード名)およびVisual Studioの次版『Orcas』(開発コード名)と同時で,2008年上半期」という情報を得た。このうわさに対する公式なコメントをMicrosoftに求めたところ,「現時点で当社はKatmaiについて話していない」との回答をもらった。

 これで,2008年というこのうわさがMicrosoftの現状と方向性が一致することが分かった。そして,Katmaiは全く新しい開発手順で作業が進められており,2008年初頭リリースという予測も無理な話でないと納得した。もっとも,新しい開発手順に対する意気込みとその効率性にかかわる信頼の度合いは,Microsoftという組織階層のどこに属しているかによって見解が大きく異なる。

 Katmaiは,公式なベータ・リリースを行わないで開発を進めるだろう。ベータ版を提供する代わりに,公開テストはすべてコミュニティ技術プレビュー(CTP,Community Technical Preview)版で実施する。もちろん,現在Microsoft顧客の何社かがKatmaiの機能をテストしているはずだ。なお,こうしたテストは,Katmai全体のビルドとは独立して行われているようだ。

 KatmaiのリリースはSQL Server 2005ほど大規模にならないが,驚くにあたらない。大規模なリリースでないどころか,KatmaiとSQL Server 2005の相違は,「SQL Server 2000」と「SQL Server 7.0」の関係と同程度になるだろう。

Visual Studio Orcasのベータ1版

 Microsoftは,Katmaiの情報をほとんど出さないのに対し,次期Visual StudioであるOrcasのベータ1版と「.NET Framework 3.5」のリリースは大々的に発表した。Orcasの提供は,「Windows Vista」,「the 2007 Office System」,Longhorn Serverといった最新世代の製品向けおよびWebシステム向けアプリケーション/サービスの開発促進が目的だ。

 Orcasには,SQL Serverの専門家が特別関心を示す機能を含め,200種類上の新機能が搭載される。Language Integrated Query(LINQ)ADO.NETに関する新機能は,「データ駆動型ソフトウエアを開発する際の生産性向上を支援する」ためのもので,Katmaiで開発中の各種機能との結びつきを感じる。さらにMicrosoftは,.NET Framework 3.5についてもLINQとの統合強化など,機能強化とパフォーマンス向上を強調している。

 詳細については,MicrosoftのWebサイト(Orcas.NET Framework 3.5)を参照していただきたい。