米オラクルのチャールズ・フィリップス社長
米オラクルのチャールズ・フィリップス社長
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 「“Applications Unlimited”の第一歩を確実に踏み出せた」――。米オラクルのチャールズ・フィリップス社長(写真)は2月1日(米国時間1月31日)、一斉にバージョンアップを発表した業務アプリケーション製品群について、このように語った。同社はこの日、世界6大陸の主要都市でイベントを開催。ニューヨークからのビデオ中継を通じて、業務アプリケーション製品群の新版を発表した。

 今回発表したのは、(1)ERPパッケージ(統合業務パッケージ)の「Oracle E-Business Suite Release 12(EBS)」、(2)人事管理システムの「PeopleSoft Enterprise Human Capital Management 9.0」、(3)CRM(顧客関係管理)アプリケーションの「Siebel CRM Release 8」、(4)IBM System i向けのERPパッケージ「JD Edwards World A9.1, the World Renaissance Release」、(5)中堅企業向けERPパッケージ「JD Edwards EnterpriseOne 8.12」---の5製品。(1)~(3)は、米国で同日に、出荷を開始した。(4)については、予定している新機能や機能強化点について発表したが、出荷日は未定。(5)は日本で昨夏に出荷を開始している(関連記事1)。

 オラクルは2004年以降、アプリケーション・パッケージ会社など25社以上を買収しているが、2008年にそれらを統合した製品「Oracle Fusion Applications」を提供した後も、買収製品の個別バージョンアップを継続する「Applications Unlimited」を表明している(関連記事2)。

 しかし、買収した製品の多さからも、実際にバージョンアップの継続が可能なのかどうか、疑問の声が上がっていた。「一つの製品だけをバージョンアップすると、ライバル会社は、『オラクルは、一つのアプリケーションしかバージョンアップできなかった』と言うに違いない。同時に複数製品のバージョンアップすることで、これらの疑問を払拭する。我々は、文字通り、“無期限”にアプリケーションを強化し続けていく」(アプリケーション事業を担当するジョン・ウーキー上級副社長)。

 今回、発表した業務アプリケーション製品群に共通する特徴は、同社のミドルウエア製品群「Oracle Fusion Middleware」での動作保証をしたこと。このことによって、「異なるアプリケーションが混在している環境でも、ビジネス・プロセスやユーザー・インタフェースなどの統合が容易になる。システム単位ではなく、ユーザーの業務や役割単位で、情報を分析することもできる」(ウーキー上級副社長)という。個別製品としてもメジャー・バージョンアップとなるため、EBSでは2443個所、PeopleSoftでは1478個所という多数の機能強化を実施している。

 日本での展開については、後日、日本オラクルが発表する予定である。