日本オラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)は6月14日、アプリケーション製品に関する新コンセプト「Application Unlimited」を発表した。日本オラクルが2008年に提供する統合製品「Oracle Fusion Applications(OFA)」を提供した後も、個々の製品のバージョンアップを継続するというものだ。

 OFAは、オラクルのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「Oracle E-Business Suite(EBS)」に加えて、旧ピープルソフトの「PeopleSoft Enterprise」、旧シーベルシステムズの「Siebel Business Applications」、旧JDエドワーズの「JD Edwards EnterpriseOne」などオラクルが買収したアプリケーション製品を統合したもの。Oracle EBSやPeopleSoft Enterpriseなどの次々版に相当する。

 従来は各製品の次版をリリースした後、次のバージョンはすべてOFAとして集約される予定だった。今回の発表により、各製品の利用企業は現行製品の次々版として、OFAだけでなくOracle EBSなども選べるようになる。

 Application Unlimitedを打ち出す狙いは、既存のアプリケーション製品のユーザーを保護することにある。「当社は、既存顧客のうち80%はOFAに移行できるとみている。それでもEBSなどの既存製品のバージョンアップと比べると、OFAへの移行は難しい面が出てくる可能性がある。既存顧客から『現状の製品のままバージョンアップできればよい』と希望する声も出ていることもあり、そうしたニーズに応えるべきだと判断した」(日本オラクル アプリケーションマーケティング本部長 藤本寛執行役員)。既存製品のバージョンアップを継続するのは、移行が難しいとみられる残り20%の顧客への対応策でもある。

 現在、PeopleSoft Enterpriseなどオラクルが買収した製品は、OISが販売している。OISは今年4月、日本ピープルソフトを社名変更して誕生した会社。6月1日には、旧日本シーベルも合併した。日本オラクルとOISとの間ではクロスライセンス契約を結び、両社が共同で提案しやすくしたほか、パートナー窓口を一本化した。