韓国 大統領府 政府革新&地方分権委員会 電子政府チーム LEE Jong Hyun氏
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 「大統領より,オープンソース・ソフトウエアを積極的に検討するよう指示を受けた。電子政府での調達においてオープンソースを優先して採用している」---韓国 大統領府 政府革新&地方分権委員会 電子政府チーム LEE Jong Hyun氏は11月22日,北東アジアOSS推進フォーラムの第5回全体会議(関連記事)で韓国政府のオープンソース・ソフトウエア採用姿勢をこう説明,教育システムや気象庁などでの大規模導入事例を紹介した。

 韓国は米国ブラウン大学の2006年の世界電子政府ランキングで,前年の86位から一気に1位に躍り出ている(関連記事)。オープンソース・ベースのシステムがこのサービス向上に多数使用されていることになる。

 「2004年に,大統領から政府・公共機関でOSSを活性化するための法律を作成するよう指示を受けた。2004年10月には,OSSを積極的に利用するよう指示があった。2005年11月には,電子政府のサーバー・レベルでオープンソースを使用することとなった。2005年12月にOSS導入のためのガイドラインを作成し配布した。現在もOSS導入の研究を続けている」(Hyun氏)。

 また韓国企画予算省では,オープンソース・ソフトウエアを優先的に検討し予算に反映させることとをガイドラインとしている。政府調達にあたっては,特別な理由がなければ,OSSの導入を阻害するような,非標準的な特定の製品を調達要件に指定してはならないというものだ。これにより節約した予算は,その省庁で使用できることになっている。

 2005年から,省庁や自治体のホームページをオープンソース・ベースのクライアントでも問題なく閲覧できるようにする取り組みも始めている。

 中央省庁および自治体でのオープンソース・ソフトウエアの採用率を調査し,行政評価に反映する,といったことも行っている。

 実際に政府機関で,多くの大規模システムの導入が始まっている。2006年に稼働した韓国最大のLinuxシステムが,2300台のLinuxサーバーを導入する「NEIS」である。小・中・高等学校など1万校の約800万人の学生,教師などの情報を管理している。


2300台のLinuxサーバーを導入した教育システムNEIS
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