北東アジアOSS推進フォーラムの第5回全体会議が福岡県・福岡市で開催された
北東アジアOSS推進フォーラムの第5回全体会議が福岡県・福岡市で開催された
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 北東アジアOSS推進フォーラムの第5回全体会議が11月22日、福岡県・福岡市で開催された。同フォーラムは、日本、中国、韓国の3カ国でオープンソース・ソフトの普及と活用を促進するもの。各国での活動と、三つのワーキンググループによる具体的な活動計画が報告され(写真)、デスクトップOSにおける統一Linuxに対する取り組みなどが明らかになった。

 中国政府は、北東アジアOSS推進フォーラムのスタート時から統一Linuxの開発を目指していたが、結果として中国と韓国で仕様の共通化に取り組み、日本は仕様を評価するのみにとどまることに落ち着いた。これに関連した活動のロードマップは、来年1月31日に公表する。

 統一Linuxに関する検討は、「ワーキンググループ1:技術開発・評価」のデスクトップ・サブワーキンググループが担当している。その報告の中で中国レッドフラッグ・ソフトウエアのGENG Zengqiang氏は、「デスクトップLinuxの仕様である中国のRPLinuxと韓国のBooyoを基にして共通の仕様を作成する」と説明した。RPLinuxは、中国で乱立するLinuxディストリビューションを共通化する狙いで政府が定める仕様だが、従来から統一仕様の本命と見られていたAsianuxとは対立関係にある。一方のBooyoは、韓国政府の支援の下でKIPA(韓国ソフトウエア振興院)が仕様を策定し、ETRI(韓国国立電子通信研究院)がLinuxディストリビューションとして開発したものだ。

 このほか、ワーキンググループの具体的な取り組みとして、(1)Linuxサーバーのリソースを管理するツール「OpenDRIM」の開発、(2)Linuxカーネルの互換性検証のためのツールの開発、(3)データベース・ソフトの性能ベンチマーク・テストの実施、(4)オープンソース・ソフトの技術者に対する教育カリキュラムや資格認定制度の策定に向けた調査、(5)文字入力のインタフェースにおける仕様の策定、(6)Web関連の互換性に関する問題の調査、を実施する。これらは、来年半ばまでに一定の結果を出すことを目標としている。

 2004年7月に開催された第2回の全体会議でスタートしたワーキンググループの活動が、ようやく具体的な形を成してきた。ここまでは、各国で起きているオープンソース関連の課題を反映し、協力体制を取りながら解決に向かっている。ただ、政府主導で進める中国や韓国と、ベンダーを中心とした民間企業の集まりである日本OSS推進フォーラムが主導する日本の立場の違いが徐々に表面化してきている。それがデスクトップLinuxに関する取り組みの違いに表れたといえる。

 経済産業省商務情報政策局 肥塚雅博局長は、「昨日開かれた3カ国の局長級会合で、オープンソースのさらなる促進と持続的な成長を政府間で協力していくことに改めて合意した。今後も積極的にワーキンググループの活動を支援する」と語る。しかしながら、今後日本国内で取るべきオープンソース施策との整合性をどうするのかは、難しい舵取りになるとみられる。