沖縄県浦添市役所で使用しているLinuxベースのシンクライアント
沖縄県浦添市役所で使用しているLinuxベースのシンクライアント
[画像のクリックで拡大表示]
沖縄県浦添市での,Windowsとオープンソース・ベースのシンクライアントのコスト比較
沖縄県浦添市での,Windowsとオープンソース・ベースのシンクライアントのコスト比較
[画像のクリックで拡大表示]
IPA主催のパネル・ディスカッション「2005年度自治体実証実験の成果報告」
IPA主催のパネル・ディスカッション「2005年度自治体実証実験の成果報告」
[画像のクリックで拡大表示]

 「市議会で市幹部が『コストを削減できることが判明したので,全てを切り替える』と答弁した」---沖縄県浦添市企画部情報政策課情報政策係長 上間泰治氏は,10月2日,独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が開催したパネル・ディスカッション「2005年度自治体実証実験の成果報告」で,同全クライアントPC,合計約1000台をオープンソースのシンクライアントにする方針を明らかにした。

 浦添市は2002年からLinuxベースのシンクライアント導入を推進している。MetaFrameなどと同様の機能を持つtarantellaを使用し,LinuxをWindows端末として利用している。すでに240台以上のLinuxクライアントが稼働しており,2006年にはIPAの「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」に採択され,約80台のSolarisベースのシンクライアントを導入した(関連記事)。

 同市では現在約700台のWindowsマシンが残っている。すでに今年度の予算で,うち200台をオープンソース・ベースのシンクライアントに置き換えることを決定した。残り500台は,2~3年をかけてシンクライアント化していく方針と見られる。

 浦添市の試算では,シンクライアントでは専用のサーバーが必要になるが,10台以上の場合Windowsよりも低コストになるとしている。「これから数千万円単位でコストを削減できる」(浦添市 上間氏)。「オープンソース・ソフトウエアなら中身が全て見えるから,東京にお伺いを立てる必要はない。地元企業が導入を請け負える」(同)。

 パネル・ディスカッションではIPAが実施した「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」に採択されオープンソース・デスクトップを導入した北海道札幌市,栃木県二宮町,大分県津久見市,沖縄県浦添市の担当者が一同に会しその成果や苦労,課題を報告した。実験結果は報告書としてまとめられ公開されている(関連記事)が,担当者らは改めてその過程を振り返り,実際に使用した自治体職員のアンケートなどから,オープンソースは自治体での実用に耐えるとの実感を得たことを報告した。

 課題としては,一部のプリンタでLinux用のドライバが提供されていないことや,Linuxデスクトップで「~」という文字がうまく表示できないことなどが挙げられた。IPA OSSセンター長の田代秀一氏は自治体担当者からの声に対し「フォントの問題について対応を考えている」と答えた。現在IPAで「IPAフォント」を配布しているが,アプリケーションとセットでのみ配布を許可している。この配布ライセンスも含め,IPAフォントに関して見直しを検討しており,近くパブリック・コメントの募集を計画していることを明らかにした。