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記者の眼

魅力は柔軟性,採用広がる「オープンソースでシンクライアント」

2006/01/20 ITpro
写真1●NTTコムウェアのLinuxシンクライアント。USBメモリーにLinuxを格納,既存のパソコンに装着して起動するとシンクライアントになる
写真1●NTTコムウェアのLinuxシンクライアント。USBメモリーにLinuxを格納,既存のパソコンに装着して起動するとシンクライアントになる
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写真2●沖縄県浦添市では約240台のLinuxシンクライアントを運用中
写真2●沖縄県浦添市では約240台のLinuxシンクライアントを運用中
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写真3●浦添市の第1世代のLinuxシンクライアント(左),第2世代のLinuxシンクライアント(右)。第2世代は,地元のショップブランドPCを採用した
写真3●浦添市の第1世代のLinuxシンクライアント(左),第2世代のLinuxシンクライアント(右)。第2世代は,地元のショップブランドPCを採用した
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写真4●浦添市企画部情報政策課の技査 上間泰治氏,同課課長 上原豊彦,導入を担当したおきぎんエス・ピー・オー 新垣一人氏
写真4●浦添市企画部情報政策課の技査 上間泰治氏,同課課長 上原豊彦,導入を担当したおきぎんエス・ピー・オー 新垣一人氏
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 「大手メーカー製のWindows XP Embedded搭載シンクライアントでは,セキュリ ティ・ホールが発覚した時エンジニアが1台1台パッチを当てる必要があるという回 答だった。LinuxならCFカードの差し替えもしくは、CFカードの書き換えで,ユーザー自身の手で簡単にアップデートできる」(リクルートエイブリック),「Linuxなので,地元の業者からホワイト・ボックスPCを調達できた」(沖縄県浦添市),「USBメモリーにLinuxを格納しており,既存のパソコンに挿して起動すれば即座にLinuxシンクライアントになる」(NTTコムウェア)---シンクライアントのOSとしてLinuxに注目するユーザーが増えている。

 ユーザーがLinuxを選んだ理由はコストではない。上記のコメントが示す,その柔軟性だ。管理コストを低減するための機能や,構成などを,一切の制約なくカスタマイズすることができる。技術力さえあれば“参入障壁”も低く,小規模な企業でもハードウエアを含めて提供できる。ローカルにデータを記録しない,外部記憶装置を接続させないといったシンクライアントとして必須のカスタマイズはもちろん,CR-ROMやUSBメモリー,コンパクト・フラッシュにOSを格納してそこから起動したり,OSをネットワーク経由でダウンロードするネットワーク・ブートなど,様々な形態で使用できる。

LinuxとしてもWindows端末としても使用

 Linuxシンクライアントのおもな使用形態は3種類ある。一つはLinuxとして,その上で動作するFirefoxやOpenOffice.orgなどのアプリケーションを使用すること。もう一つはWindows Terminal ServerやMetaFrameのクライアントを動作させて,Windows端末として使用する方法だ。さらに,サーバー上で動作するLinuxの画像をシンクライアントに表示して使用する,Linux端末としての使い方もある。MetaFrameのLinux版といった形態だ。

 リクルートエイブリックは最初の,Linuxとして使用するシンクライアント導入の検討を行っている。モバイル環境で使用するため,ネットワークに接続されていない状態でも使用できなければならない。なおかつ,ローカルには一切,一時的なデータとしても情報を保存しないことが必要だった。「例え暗号化されていたとしても,紛失は紛失」(リクルートエイブリック 情報マネジメント室 プランニングマネジャー 石津広也氏)だからだ。CD-ROM起動のLinuxであれば,それが容易に実現できる。また,セキュリティ・パッチも容易に適用できる。2006年3月までに20~30台を試験的に導入,評価結果によって営業担当者全員,200台以上に導入を拡大する。(関連記事)。

 経済産業省が行っている教育現場へのオープンソースデスクトップ導入実験でも,Linuxとして使用するシンクライアントが採用されている。京都府京田辺市と岡山県総社市ではネットワーク・ブートによるディスクレス・マシンも使用する(関連記事プロジェクトのホームページ)。

 NTTコムウェアが同社およびNTTグループの各社を対象に導入実証実験を始めているのは,2番目のWindows端末と3番目のLinux端末の両方として使用できるLinuxシンクライアントである。2006年3月までに500台規模の実験を実施する予定だ。USBメモリーにLinuxを格納,既存のパソコンを,USBメモリーを装着して起動するだけでシンクライアントとして使用することができる。Windows Terminal ServerとMetaFrameのクライアントを搭載しており,Windowsサーバーの画面をLinuxシンクライアントから使用できる。またLinuxサーバーの画面を操作するシンクライアントNX Clientも搭載しており,WindowsとLinuxの両方を使用することができる(関連記事)。

 NTTデータもシンクライアント・システム「RitaOffice」を開発,すでに自社での使用を始めている。NTTコムウェアのものと同様,LinuxとWindowsの端末として使用できる。こちらはネットワーク・ブートによりOSをサーバーからダウンロードする形態を採る。

「オープンソースなら東京に頼らなくてもいい」,約240台を運用する沖縄県浦添市

 Linuxシンクライアントにはすでに大規模な実績もある。沖縄県浦添市では,すでに200台以上のLinuxシンクライアントを導入している。MetaFrameなどと同様の機能を持つtarantellaクライアントをLinux上で動作させ,Windows端末として使用している。同市が使用しているバージョンのtarantellaでは256色しか表示できないため,市役所内で行われるストリーミング放送を視聴する際には,tarantellaを使用せずLinux上のReal Playerを使用する。

 浦添市がLinuxを選んだのは,少しでもコストを削減するためだ。そもそもシンクライアントの導入の目的は管理コストの削減だった。「LinuxならWindowsに比べ,OSのライセンス料のぶん安い」(浦添市 企画部情報政策課技査 上間泰治氏)。市のホームページはLinux,PostgreSQL,PHPで作成するなど,オープンソース・ソフトウエアによるコスト削減には積極的だったこともあり,2002年に東京のメーカー製の80台のLinuxクライアントを導入した。

 2004年にはさらに160台のLinuxシンクライアントを導入した。この時は,地元のショップ・ブランド・パソコンを採用した。「地元あっての役所」と上原氏は言う。「東京からモノを仕入れて売っていては,地元の企業は東京に勝てない。産地に近いほうが有利に決まっている。オープンソース・ソフトウエアなら中身が全て見えるから,東京にお伺いを立てる必要はない。つまり,顧客に近いほうが有利になる。東京追従ではないビジネスや人材育成ができる」(同)。

 さらに浦添市は,経済産業省が実施する,自治体へのオープンソースデスクトップ実験に採択され,2005年度中に基幹システムの端末となっている約80台のWindowsパソコンをシンクライアントに置き換える(関連記事)。Linuxはすでに実績を積んだとして「新しいOSに挑戦する」(上間氏)とオープンソースOSとなったOpenSolarisを搭載したシンクライアントを採用する予定だ。

課題は人材とノウハウの不足

 Linuxシンクライアントの課題は何だろうか。Linux上でFirefoxやOpenOffice.orgまたはStarSuiteを使用する場合,Internet ExplorerやMicrosoft Officeとの互換性が懸念材料だ。リクルートエイブリックではこの点に留意した検証を進めている。ただし,いずれも2005年に新バージョンがリリースされるなどで互換性は向上しており,検証は必要だが社内アプリケーションや社内文書であれば支障ないケースも増えてきた。

 多くの関係者が指摘するのは「人材やノウハウの不足」だ。浦添市でも「『任せてください』というスキルを地元のベンダーが身に着けてほしい」(上間氏)と注文をつける。ユーザーにとっては,ベンダーが十分な技術を備えているかどうかの見極めが重要になると言えるだろう。

 人材不足をビジネスチャンスと見るベンダーもある。NTTコムウェアは「先行して導入することでサポートを担える人材を育成し,ビジネスチャンスにつなげる」と期待する。

 浦添市は「他の自治体にも積極的にノウハウを公開したい」(浦添市 企画部情報政策課課長 上原豊彦氏)と語る。同市は,シンクライアントだけでなく,すでに4年前メインフレームを撤去し基幹システムのオープン化をなしとげたこともあり,他の自治体からの視察も多い。コスト削減を目的にStarSuiteやOpenOffice.orgの導入も開始,こういったノウハウは市役所内のWikiにデータベースとして整備している。「成果を我々だけで抱え込むことはしない。オープンソースの思想と同じ」(上原氏)

高橋 信頼=IT Pro

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