米国で恒例のGoogle I/Oが開催されて、ちょっとしたニュースラッシュだが、その一方で、忘れてはいけない「忘れられる権利(right to be forgotten)」についても進展があった(関連記事:Google、『忘れられる権利』に対応した検索結果の情報削除を開始)。

 「忘れられる権利」とは、インターネット上にさらされてしまった個人情報を削除できる権利のこと。欧州を中心に議論が高まっていた。特にGoogleなどの検索エンジンで、個人の過去の情報が検索できてしまい、その情報を削除できるか否かで裁判が起きていた。今回のニュースは、Googleが、「忘れられる権利」を支持する裁決に対応するための措置として削除作業を始めた、というものだ。

 「忘れられる権利」のニュースをITproで検索してみると、2010年11月5付けの「ECがプライバシー保護の新規定案、『忘れられる権利』をユーザーに」から始まる。ほぼ3年半前のものだ。翌月、2010年12月1日には「欧州委員会、『忘れられる権利」のプライバシー規定案を公式説明」と続報がある。欧州でのプライバシー保護の強化を伝えている。

 1年前の2013年6月26日には「Googleは検索結果の個人情報を削除する義務はない、欧州裁判所法務官の見解」といった報道もあったが、結局2014年5月13日付けの記事「Googleは個人情報へのリンクを削除する責任あり、欧州司法裁の判決」にもあるように、「忘れられる権利」を支持する裁決が下った。

 「忘れられる権利」が問題になったのは「Apple IDハッキング、iPhoneが人質に」でも「欧州人は肯定的にとらえる傾向があり、自分に関するデータは自分自身が管理するべきだという考えに基づいている。米国人では、表現の自由を懸念する傾向が見られる」とあるように、米国と欧州の文化の違いともいえる。はたして、日本国内ではどうなるか、注目しておきたいところだ(PC Onlineの関連記事:グーグルに対するリンク削除判決が浮き彫りにした欧州と米国の温度差)。