欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は現地時間2013年6月25日、Webに公開された個人情報を検索インデックスから除外する責任を米Googleが負う必要はないとする法務官の意見書を公開した。

 この問題はスペイン在住の男性が、自身の名前をGoogleで検索した際に、関連する過去の新聞記事へのリンクが検索結果に提示されることについて苦情を申し立てたことに端を発している。新聞記事は1998年にこの男性の差し押さえられた不動産が競売にかけられたことを報じたもので、男性は2010年2月に情報の削除を求めて新聞社とGoogleをスペイン情報保護局(AEPD)に提訴した。

 AEPDは2010年7月30日に、Googleのスペイン事業(Google Spain)およびGoogleに対し、Google検索のインデックスから問題のデータを除外するよう言い渡した。一方新聞社に対する原告の苦情は退けた。これを受けGoogle SpainおよびGoogleはAEPD判断の取り消しを求めて上訴していた。

 今回ECJのNiilo Jaaskinen法務官は、Googleが「Google Spainは広告関連の拠点であり、検索サービスに関する情報処理はスペインでは行われていない」と主張している点については、同社のビジネスモデルから考えてキーワード検索広告関連の拠点を置くスペインのデータ保護法に準じる必要があるとの見解を示した。

 しかし、検索サービスプロバイダーはデータ保護指令で定義されているコンテンツ管理者に当てはまらないとし、Googleは第三者が運用するWebページ上に作成された個人情報を含むコンテンツについて削除する義務はないと判断した。

 さらに同法務官は、データ保護指令では全般的な「忘れられる権利」を制定していないため、データ保護指令に基づいて検索サービスプロバイダーに「忘れられる権利」を主張することはできないとした。

 なお今回の法務官の意見書は法的拘束力はなく、今後裁判官が討議し、最終的な判断を下す。

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