2014年2月27日までスペイン・バルセロナで開催さていれた「Mobile World Congress 2014」(MWC2014)。無線技術の面では、3バンドや4バンドのキャリアアグリゲーション(CA、関連記事:4バンドのCAで500Mbps超も、力業の高速化競争が続く)やLTE-Advancedの免許不要帯での活用提案などに加えて(関連記事:注目集めるLTE-Advancedの免許不要帯での活用、帯域不足の切り札になるか)、昨年までほとんど見かけなかった第5世代移動体通信システム(5G)の動きがかなり目立っていた。

 例えば欧州委員会が昨年末、スウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキア ソリューションズ&ネットワークス(NSN)など主に欧州系企業と共に発足した官民パートナシップの5Gに関する研究開発プロジェクト「5G-Infrastructure-PPP」(5G-PPP)は、MWC2014の期間中にプレスカンファレンスを開催(写真1)。

写真1●欧州委員会のKroes副委員長のほか、エリクソンやNSN、仏アルカテル・ルーセントらのCTOが勢揃いした5G-PPPのカンファレンス
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 欧州委員会のNeelie Kroes副委員長は「このカンファレンスはMWCの中でも最も重要なカンファレンス」と説明し、5Gの関連研究に対して2020年までに合計14億ユーロ(約2000億円)を充てる計画を明らかにした。欧州委員会が5Gの研究開発に投入する合計額は昨年からどんどん増額されており、これは欧州が5Gにおけるリーダシップを逃さないという決意の表れだろう。

 世界の多くの携帯電話事業者が参加する業界団体「NGMN」(Next Generation Mobile Networks)も、MWC2014の期間中にプレスカンファレンスを開催し、2014年末までに携帯電話事業者による5Gの要求条件を定義することを明らかにした。

 5G-PPPやNGMNのほかに、欧州連合の研究プロジェクト「METIS」(Mobile and wireless communications Enablers for the Twenty-twenty Information Society)や学術系メンバーが目立つ「5G Now」、中国や米国、韓国、日本でも5G関連のプロジェクトが立ち上がっている。国際的な周波数の利用方法を定めるITU(国際電気通信連合)においても、将来のIMTシステムを議論する「Future IMT Vision」という会合が始まっている。これらのプロジェクトで5Gの導入時期としてターゲットとしているのは、ほぼ2020年で一致している。東京でオリンピックが開催される2020年が、まさに5G元年となろうとしているわけだ。