写真1●韓国SKテレコムの3バンドCAデモ
写真1●韓国SKテレコムの3バンドCAデモ
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写真2●英ボーダフォンは中国ファーウェイの機器を使用して、FDDとTDDが混在した4バンドのCAをデモ
写真2●英ボーダフォンは中国ファーウェイの機器を使用して、FDDとTDDが混在した4バンドのCAをデモ
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写真3●英ボーダフォンのデモで使用している端末装置。まだまだ巨大だ
写真3●英ボーダフォンのデモで使用している端末装置。まだまだ巨大だ
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 LTE-Advancedの要素技術の一つであるキャリアアグリゲーション(CA)。3GPP Release 10で規定された要素技術であり、5MHz幅~20MHz幅のコンポーネントキャリア(CC)を最大5キャリア束ねることで、既存のLTEを超える高速化が図れる。既に韓国では、2013年7月からCAによるLTE-Advancedサービスを提供している。韓国内の大手携帯電話事業者3社が、CAによって帯域を束ね、合計20MHz幅を使って最大150Mビット/秒のサービスを提供している。

 スペインバルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2014」では、そんなCAによる高速化競争が次の段階に移っていることが見えてきた。これまで商用化されているCAは10MHz幅+10MHz幅などといった2バンドの構成だったが、20MHz幅+20MHz幅+20MHz幅などの3バンド、あるいはさらに4バンドをCAすることで、さらなる高速化を目指すデモが相次いだからだ。

 例えば韓国のSKテレコムは、同社のブース内で3バンドのCAのライブデモを実施。800MHz帯を20MHz幅、1.8GHz帯を20MHz幅、そして2.1GHz帯を20MHz幅用い、合計60MHz幅の構成で最大450Mビット/秒弱のスループットを見せていた(写真1)。韓国サムスン電子の装置を使っているという。

 英ボーダフォンのブースでは、4バンドのCAによるデモを実施していた。こちらはFDDとTDDバンドが混在したCAである。800MHz帯FDDを10MHz幅、1.8GHz帯FDDを10MHz幅、2.6GHz帯FDDを20MHz幅、2.6GHz帯TDDを20MHz幅を用いる構成だ(写真2)。スループットは最大で540Mビット/秒に達したという。デモは中国ファーウェイの機器を使用して実施した。

 CAは原理上、帯域を束ねれば束ねるほど高速化が図れる。その意味では力業の競争と言える。課題はまだ3バンド、4バンドに対応した商用端末が登場していない点だ。例えば英ボーダフォンが実施したデモでは、端末装置はまだまだ巨大だった(写真3)。ただ韓国では大手携帯3社がCAによる高速化競争でしのぎを削っている。SKテレコムによると来年以降に3バンドのCAを商用化したいとしている。