IT大手企業の中間決算をどう見るべきか。ITproでは「大手ICT企業の13年度上期連結決算、失敗プロジェクトで明暗」と題した特集でこの問題を追いかけました。最終回である「アナリストに聞く、ITサービス市場の期待と不安」を読んでいて、なるほどと感じた部分がありました。

 「上期にダメージを受けたICT企業のほとんどは、通信キャリア関連に起因している」という大和証券・企業調査部副部長シニアナリストの上野真氏のコメントです。大量の顧客、大量のトラフィックをさばく通信事業者のシステムは巨額の投資につながりやすく、IT会社にとっては上得意ですが、依存しすぎると支払うツケも大きいのです。

 大規模ゆえに開発が難航しがちで、通信大手3社のシステム開発の歴史は、「動かないコンピュータ」の歴史と言えるほどです。通信障害などで「特需」が発生することもありますが、ネットワークが安定すれば投資は一気に減ってしまいます。

 IT大手の中間決算については、30年以上にわたって産業動向を見てきた田中克己さんの「増加する不採算案件、原因は組織力やリスク管理強化への過信か」も参考になります。分かっていても、不採算案件を根絶するのは簡単ではないようです。

 大和証券の上野氏によれば、2013年度下期の業績は「悪くならないだろう」とのことです。期待します。