Mobile World Congress(MWC)の主役はスマートフォンなどの端末だけではない。各通信機器ベンダーは、端末を支える通信インフラ技術についても世界中の通信事業者が集まるMWCをターゲットに数年先を見越した製品やソリューションを用意してくる。
ここ数年来、MWCでの通信インフラ技術の主役は、LTEからLTE-Advanced、スモールセルなど無線アクセスが中心だった。だが今年はその様相ががらりと変わった。
新たな動きとして、ネットワーク全体をソフトウエアで制御できるようにする通信事業者向けの「SDN(Software Defined Network)」、さらにコア網のネットワーク機能を仮想化する「NFV(Network Functions Virtualization)」といった動きが一気に登場してきたからだ(写真1、関連記事:エリクソンが通信事業者向けSDNを初公開、豪テルストラとも実験中、写真2、関連記事:NECが携帯コア網の仮想化を実機デモ、テレフォニカとも共同研究を実施)。ITの世界を変えた仮想化が、通信事業者のネットワークの領域に浸食しようとしている。
「現在のネットワークでは課題に対処できない」
なぜここに来て、通信事業者向けのSDNや、コア網の機能の仮想化であるNFVといった動きが一気に出てきたのか。もちろんITの世界でのクラウドの進展や、OpenFlowを使ったネットワーク仮想化の動きが具体化してきた背景も大きい。だがそれ以上に通信事業者が、現在置かれている局面を打開するために、SDNやNFVのような新たなネットワークのアーキテクチャーを求めているという背景もある。