スペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2013(MWC2013)」。インフラの面での新たな動きといえば、携帯電話事業者向けのSDN(Software Defined Network)がある。
欧州の標準化団体である「ETSI」が2012年10月から、携帯網の仮想化の取り組み「NFV(Network Function Virtualization)」を始めたこともあり、それに呼応して今回のMWC2013では各通信機器ベンダーが続々と携帯電話事業者向けSDNのコンセプトやデモを披露し始めている。これまで大規模なデータセンター向けソリューションが多かったSDNが、急速に通信事業者向けのネットワークを対象に拡大している印象だ。
スウェーデンのエリクソンは今回のMWC2013に合わせて、「サービスプロバイダーSDN」というコンセプトを発表。MWC2013の会場内で実機を用いたデモを実施している(写真1)。
同社のサービスプロバイダーSDNは、データセンターなどを対象としたSDNに対し、(1)無線アクセスからエッジ、コア・ネットワークまでのコントロールレイヤーを一元管理、(2)ネットワークとクラウドの統合管理、(3)APIによるサードパーティー製のアプリケーションの追加---という3つの拡張を施しているという。これらによって、これまで専用機器によって構成していた通信事業者のネットワークを、リアルタイムにプログラマブルに扱えるようになる。よりフレキシビリティのあるネットワークを実現できるメリットがあるという。
そんなサービスプロバイダーSDNの中核となるのが、同社が独自開発したSDNコントローラーである(写真2)。既存のネットワークの制御機能に加えて、OpenFlowを使ったOpenFlowスイッチの制御にも対応する。
サービスプロバイダーSDNの一つのユースケースとしてデモで披露していたのが、サービスポリシーをダイナミックに変更できるネットワークだ。これまではDPI(Deep Packet Inspection)やセキュリティアプライアンス、コンテンツフィルタリングなどの装置を物理的に構成してネットワークを組む必要があった(写真3)。