新しいネットワーク仮想化技術は、従来のVLAN(仮想LAN)が抱えていた「設定が面倒」という問題点も解消した。仮想スイッチを集中制御するオーバーレイ方式(第2回を参照)の管理ソフトや、ホップ・バイ・ホップ方式(第3回を参照)で使うOpenFlowコントローラーはいずれも、GUIの管理コンソールを備えている。

セルフサービスでの管理が可能

 新しいネットワーク仮想化技術を組み込んだIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)も構築できる。リソースプールを制御してIaaSを構成する「クラウドオーケストレーター」が、オーバーレイ方式のネットワーク仮想化に対応し始めた(図4)。

図4●仮想ネットワーク機能を備えたIaaSを構築するために必要な要素
仮想ネットワーク管理ソフトと「OpenStack」などのクラウドオーケストレーターとが連携することで、仮想ネットワークもセルフサービス方式で管理できるIaaSが実現する。
図4●仮想ネットワーク機能を備えたIaaSを構築するために必要な要素<br>仮想ネットワーク管理ソフトと「OpenStack」などのクラウドオーケストレーターとが連携することで、仮想ネットワークもセルフサービス方式で管理できるIaaSが実現する。
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 米国のクラウド事業者である米ラックスペースホスティングが中心となって開発を進めるOSSのオーケストレーター「OpenStack」は、シスコやニシラのネットワーク仮想化機能に対応した。米シトリックスシステムズが中心となって開発を進めるOSSのオーケストレーター「CloudStack」も、ニシラのネットワーク仮想化機能に対応する予定。

 これらのソフトで構築したIaaSでは、ユーザーはセルフサービスポータルから、仮想サーバーやストレージに、専用の仮想的なLANを割り当てられる。

クラウドでも仮想ネットワーク

 実際にラックスペースは2012年5月、OpenStackとニシラのNicira NVPを使って、同社のIaaS「Rackspace Cloud」に仮想ネットワーク機能を追加した。

 NTTコミュニケーションズは2012年6月に、同社のIaaS「Bizホスティング Enterprise Cloud」に、仮想ネットワーク機能を追加した。NECのOpenFlowコントローラー/スイッチを採用した。

 日商エレクトロニクスは、仮想ネットワーク機能を備えたIaaSソリューションを販売予定だ。ニシラのNicira NVPとシトリックスのCloudStackを組み合わせて提供する。主にクラウド事業者を販売ターゲットとする予定だ。