内的要因への対応編の締めくくりとして、今回は「新型うつ」と呼ばれる不調に陥ったメンバーへの対応事例について紹介したい。概要は図1の通りで、対応のポイントは「客観的な事実によって、認知のゆがみや、考え方の偏りを矯正していく」ことである。傷つきやすく、攻撃的な性格は、周囲のメンバーとのあつれきも多く、指導も困難で、マネジメントする側もストレスがたまる。

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図1●新型うつと見られるメンタル不調者への対応の概要
図1●新型うつと見られるメンタル不調者への対応の概要
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 ただ、新型うつと呼ばれるメンタル不調は、その原因である認知のゆがみや、考え方の偏りが矯正されると、病状の回復は早く、以前以上にパフォーマンスを発揮する場合もある。それだけに、少し手間はかかるが、復職すれば大きな戦力になると信じて、指導しなければならない。

復帰直後は社内ポータルの監視役にアサイン

 新型うつと呼ばれるメンバーがリハビリ出勤した際の業務は、社内ポータル(本連載の「[内的要因への対応策4]社内ポータルとフェロー制度」参照)の書き込み内容の監視役をアサインした。

 様々な書き込みを一つひとつ読んで、個人の中傷になる文章がどれで、代案のない批判がどれなのかを見極める仕事は、自分の価値観のズレを気づかせることになり、大きな成長を促した。

 大抵初めは、「こんな仕事ですか?」とか、「いろいろと面白い意見がありますね」と、上から目線の発言をするのだが、認知のゆがみや、考え方の偏りのある彼らにとって、書き込みの是非の判断は簡単ではなく、普通は途中で頭を抱えて悩みはじめ、周囲のメンバーに相談するのである。

 実はこの辺りで、世間と自分の考え方に違いに気づいてくれれば軽症で、駄目だった場合は次のステップになる。