職場のメンバーが増えると、メンバー同士の意思の疎通が取りにくくなる。それは様々な価値観が増えることによって、一気に高いコミュニケーション能力が求められるからだ。
新卒社員として一緒に入社し、数々の体験を共にして分かりあった仲間であっても、成長による考え方の変化や、感情のすれ違いによって、うまくコミュニケーションが取れない場合がある。
そのうえ、即戦力になるような人材を採用し始めると、様々な会社で育ち、自分のやり方を確立したメンバーが職場に入ってくるわけで、今までのようなやり方ではコミュニケーションがうまくいかない。事実、当時の職場はちょっとしたコミュニケーションミスで誤解が生じ、人間関係に重大な問題を起こしていた。
そこで、高いコミュニケーション能力が無くとも、お互いを知り、必要な情報を交換し合える仕組みとして、社内ポータルを考えた。コンテンツの内容を検討する上で、当時考えられた前提や課題、目的は次のようなものだった。
- 内気で積極的に話ができない人が多い
- 技術は共有し、教えるようなものではないと考える人もいる
- 隣の部門で同じような開発をしていた
- 隣の部門と同じ目的で別のツールを採用していた
- 開発プロセスが部門によって異なり、他の成功事例が活用できない
- どこにどんな情報があるのか、だれに聞けばいいのかも分からない(スキルの可視化ができていない)
- 海外ではどんな開発をどのような手法でやっているのか、全く分からない
- 隣人がどんな考えなのか分からず、恐くて話しかけられない
これらは、どの会社にでもある問題かもしれない。
図1は、当時のポータルのスタート画面(サンプル)である。
1ページ目には、全社で共有するための情報が集められており、部門からのお知らせや、社長のブログ、また離れている職場と映像でつながることもできる(これは2011年3月11日の東日本大震災の体験に基づいた提案だったが、現バーションでは変更されている)。
また人材情報もスキルがビジュアルで確認でき(権限によって閲覧できる範囲が限定されているが)、海外のグループ会社のソフトウエア開発情報(バグ情報)も見ることができるようになった。