IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー)

先輩“システム屋” 「そうなんだ。息子が小学生になったのをきっかけに始めたんだ」
若手 「いいですね。リフレッシュになるでしょうし地域にも貢献できますし」
先輩 「そのうえ、仕事にも参考になるんだよ、これが」
若手 「そうなんですか?」
先輩 「スポーツは競争だし、サッカーはチームスポーツだからね」
若手 「ビジネスにも共通点があるということですか?」
先輩 「例えばさ、うちの会社にも自社の欠点ばかり言っている人っているじゃない?」
若手 「はい確かに。悲観的というか、ダメな理由の“解説者”って感じですね」
先輩 「スポーツで、チームの欠点ばかりに着目していたら絶対に伸びないんだ」
若手 「ははあ、なるほど」
先輩 「一方で、当社の強みはこれしかない、って言う人もいるよね」
若手 「逆に楽観的すぎるというか、これで負けたら顧客が悪いと言ってる人がいますね」
先輩 「スポーツで言えば、上達することを捨てているみたいなもので、必ず限界が来る」
若手 「負け惜しみばかり言っているみたいなものでしょうか」
先輩 「そうそう」
若手 「つまり悲観的でも楽観的でもダメということですね?」
先輩 「そうだ。強みは増やしていく必要がある」
若手 「いまある強みを捨てるのではなくて、増やすべきだと」
先輩 「そうだね。それがスポーツとビジネスの最大の共通点だと思うよ」
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ダメな理由:問題点の指摘ばかり
私はプライベートでは、週末に地元の少年サッカークラブでボランティアコーチをやっています。それでよく感じるのは、スポーツとビジネスの共通点です。どちらもルールのある競争であり、勝ったり負けたりしながら成長していきます。
少年サッカーのコーチの中にも、自分のチームについての愚痴ばかり言っている人がいます。技術がない、闘争心がない、スピードがない、チームワークがない、などなど。同じようにビジネスでも、自社について、技術力がない、若手はやる気がない、ベテランはスピードが遅い、組織プレーがないなどと、自社がダメな理由を指摘してばかりの“解説者”がいます。
サッカーのコーチがチーム・選手の問題点や、欠点ばかりを指摘していては、当人はやる気を失ってしまいます。同様にビジネスの世界でも、管理職やベテランがプロジェクトチーム・メンバーの問題点や欠点ばかりを指摘していれば、出来上がるはずの情報システムも出来上がりません。