IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー)

ダメな“システム屋”B 「ほんと暑いね。空調の設定温度、もっと下げたいよ」
ダメA 「あと、この格好、何とかしたいよね。スーツにネクタイじゃ、暑くてしょうがないよ」
ダメB 「アメリカのIT企業なんて、ポロシャツとジーンズが普通じゃないの?」
ダメA 「これじゃ、日中は仕事にならないよな」
ダメB 「やっぱり夜にならないとね」
ダメA 「そうそう。『春はあけぼの、夏は夜』ってよく言うし」
ダメB 「我々“システム屋”は夜にならないと脳が働かないよ」
ダメA 「それから、ビールが入らないと脳が働かない?」
ダメB 「ご明察!」
ダメA 「さあ、今夜も飲みに行きますか?」
ダメB 「いやいや、今日はだるくて昼出社だったから、夜は真面目に働かないと」
ダメA 「何をおっしゃる、私なんか、今出社したばかりですよ。ははは」
通りすがりの上司 「お前ら、あの報告書早く出してくれよ」
ダメA&B 「はい、明日朝までには・・・(仕方ない、今晩書くか)」
ダメな理由:そもそも就業パターンがおかしい
東日本大震災後に迎える2011年の夏は、東京電力や東北電力の管内を中心に、節電が大きな社会的課題になっています。ここでは節電の方法を具体的に考える以前に、“システム屋”の就業パターンや慣習について考えてみたいと思います。
まず、“システム屋”以外の業界を見てみましょう。
例えば証券会社では「市場で他者に先んずる」ことが重要な価値観です。だから朝も早く、夜も早くなります。早い人は朝7時前には出社し、海外市場の動向をチェックし、その日の朝刊をチェックし、9時に日本の証券市場が開く前にはその日の戦略・戦術を立てておくでしょう。
一方で、製造業では「全員に徹底する」ことが重要な価値観です。だから、始業時刻ばかりでなく、休日なども合わせるのが普通です。働く時は全員が集まって働き、休む時は全員で休むというわけです。品質問題などが起きればみんなで集まって改善策を考える「なぜなぜ分析」といった活動もよく行われます(関連記事)。2011年夏は、土日に操業する代わりに平日を休みにすることを決めた製造業も多いようです。
流通・サービス業では「お客様に合わせる」ことが重要な価値観です。「お客様が来る時間帯」「電話が入る時間帯」に不在にすることがあってはなりません。だからこそ、早番・遅番を設定するなど、顧客サービスの質が低下しない工夫を組織で考えます。
“システム屋”はどうでしょうか。
“システム屋”にとって、他者に先んずることも、全員に徹底することも、お客様に合わせることも、いずれも重要かもしれません。では“システム屋”の就業パターンはどうなっているでしょうか。いずれかの目的に合致するように考えられているのでしょうか。
実際には、各人が自分勝手に就業パターンを決めてはいないでしょうか。通勤電車が大変だから早めに来る人がいるかと思えば、夜更かしして朝が遅い人、朝の気分で決める人などが混在しているようなケースが、ひょっとしたらあるかもしれません。他業種とは違い、就業パターンの最適化を全く考えていないということになります。