IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー)

先輩“システム屋” 「おういいぞ。ゴルフがどうかしたのか?」
後輩 「実は何人かの先輩からゴルフを勧められているんですけど・・・」
先輩 「で?やろうかどうしようか迷っているのか?」
後輩 「そうなんです。お金も時間もかかりますから・・・」
先輩 「だけど?」
後輩 「先輩たちは一石三鳥だというんですよ。健康にいいし、社内人脈は広がるし」
先輩 「あと1つは?」
後輩 「役職者になったら絶対に役に立つというか、営業には必須だとか・・・」
先輩 「ふむ、それで?」
後輩 「でも先輩はゴルフやらないけど、仕事はバリバリで役職者だし、一体どうなんだろうと思って」
先輩 「ふむ、つまり、君はあまりやりたくないのかな?」
後輩 「ええ、やっぱりお金と時間が気になるんですよね」
先輩 「そうか。実は僕も若いころ数回だけコースに出たことがあったなあ。でも、即座にやめたんだ」
後輩 「え、そうなんですか?」
先輩 「ゴルフをやるデメリットというか、ゴルフによって失うもの、あるいはゴルフが奪うものが気になってね」
後輩 「やっぱり、お金と時間ですか?」
先輩 「それもある。ただ、もっとあるような気がしたんだな」
後輩 「というと?」
先輩 「うん、ちょっと長い話になるからコーヒーでも飲むか?」
後輩 「はい!」
ダメな理由:ゴルフは本当に仕事に役立つ?
前回とは視点を変えて、今回は、ITベンダーやシステムインテグレーターなどに勤める“システム屋”にとって切っても切れない、と思われがちなゴルフについて触れたいと思います。先に言っておきますが、“システム屋”歴30年以上の私は、サッカーはやりますが、ゴルフはほとんどやりません。
自分の周囲でゴルフ好きな“システム屋”を探してみてください。その人たちは英語ができますか?英語を仕事に活用していますか?
例えば30歳からゴルフを始めて60歳までやったとします。その30年間にゴルフに費やす時間とお金とエネルギーをもし英語に投入すればどうなるでしょう。ゴルフならシングルの腕前まで上達するとすれば、英語ならTOEICで900点といったところではないでしょうか。
もちろんその間に、ゴルフができることによるメリットもあるでしょうが、英語ができることによるメリットもあるはずです。21世紀に生きる“システム屋”にとって、どちらのメリットが大きいでしょうか。冷静に考えてみるべきです。
そして一番重要なことは、ゴルフが仕事に役立つと自分に言い聞かせて、ゴルフよりももっと仕事に役立つことから逃げようとしていないか、ということです。英語はその1つですが、ほかにもあるのではないでしょうか。経営学の基礎かもしれません。財務会計や簿記かもしれません。情報技術者の専門資格かもしれません。そうしたことから逃げてゴルフに走っているのではありませんか。