IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

ダメな“システム屋”と上司の会話
メな“システム屋” 「聞いてください!あのプロジェクトはもうダメです」
司 「何、どうした?」
 「問題山積なのに、リーダーの話が長くて何も解決しないし、先に進まないのです」
 「問題山積って、どんな問題がいくつあるの?」
 「もう大変です、契約、体制、技術、期間、何もかも問題だらけなんですよ」
 「だから、どこがどのように問題なの?」
 「一番問題なのはリーダーの話が長いことですよ。話の長い男は赤字ですよ!」
 「話が大げさな君も赤字だと思うけど」
 「・・・」

ダメな理由:減点法が生んだ体質

 前回は、ITベンダーやシステムインテグレーターなどに勤務する「ダメな“システム屋”」について、資料がやたらと長いという行動様式を説明しました。今回は、資料ではなく話の長さについて触れます。

 私が野村総合研究所(NRI)の新入社員だったころ、大先輩から「電話が長いヤツは仕事ができない、赤字だ」と聞かされた覚えがあります。男性ばかりの職場でしたから、「話が長い男は仕事ができない」という意味だったはずです。

 その後、システム会社に女性も多く入社するようになると、ここに、「話が大げさな女は仕事ができない、赤字だ」という法則が加わったように思います。いずれの法則も、性別は何ら関係ありません。性別にかかわらず、赤字には違いありません。

 これは、システム以外の多くの分野においても成立しそうな法則です。ただし、話が長い、あるいは、大げさな“システム屋”は他分野よりも相対的に多いように思われます。

 システムの分野でこの種の人が多い理由は、「減点法」にあるのではないかと私は考えます。多くの“システム屋”は、作るべきものと期間が指定され、それができて初めて合格であり、バグがあったり期間が伸びたりすれば減点法で評価が下がっていきます。こういう評価法が当たり前になっている組織では、自分は悪くないことを言いたいがために話が長くなる人と、「私は言いましたからね」と事前にくぎを刺しておき責任を回避しようとする人が増えるのかもしれません。

 また、「赤字だ」ということについて言えば、システム開発コストの大半を人件費が占めるのにもかかわらず、ダメな“システム屋”ほどこの事実に対して鈍感です。自分と周囲の時間を浪費してでも平気で長い話をしたり、大げさに騒いで無駄なエネルギーを消費させます。