1960 年生まれ、独身フリー・プログラマの生態とは? 日経ソフトウエアの人気連載「フリー・プログラマの華麗な生活」からより抜きの記事をお送りします。2001年上旬の連載開始当初から、現在に至るまでの生活を振り返って、順次公開していく予定です。プログラミングに興味がある人もない人も、フリー・プログラマを目指している人もそうでない人も、“華麗”とはほど遠い、フリー・プログラマの生活をちょっと覗いてみませんか。
※ 記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 携帯サイト開発の仕事をしていて時々質問されるのが、携帯ブラウザ(携帯の組み込みブラウザ)の将来性についてである。最近はフルブラウザ搭載の機種が増えているし、スマートフォンも少しずつだが存在感を増しているように思える。携帯固有の仕様を持つ携帯ブラウザは、いずれなくなるのではないか、というのである。携帯ビジネスそのものについて詳しいわけではないので確信はないのだが、私の意見はNoに近い。

 前回(「携帯サイト開発事情」)も書いたように、携帯ブラウザにはキャリアが顧客、つまり利用者と情報提供者を囲い込む仕掛けが組み込んである。この仕掛けを実装するか、あるいは新たな囲い込みのビジネス・モデルを構築できるなら、フルブラウザと携帯ブラウザが統合される可能性は高い。そうでなければキャリアは従来通り携帯ブラウザを搭載し続けるに違いない。なぜなら、おそらくコンテンツ・サービスの囲い込みをするのがキャリアの生き延びる道だからだ。

 以前も書いたことがあるが、過去にインターネット接続業者が次々と淘汰されていった一つの理由は、コンテンツ事業への進出に失敗したからである。接続するだけの事業に専念せざるを得なくなった結果、回線費用の価格競争を引き起こし、採算が取れなくなっていったのだ。携帯キャリアがあえて同じ轍を踏むようなことをするわけはない、と私は思うのだ。

 しかし、私たち開発者にしてみれば、携帯ブラウザがなくなるかどうかなどというのはたいした問題ではない。そういう仕様のものが来たら、それに合わせて開発するだけだ。公式サイトの開発者なら、そんなことより来週に予定されているキャリア・チェックに通るかどうかの方が重要だ、と言うかもしれない。まあこれは冗談だが。

 話がかなり脱線してしまったが、前回の冒頭を思い出してほしい。今回の仕事は勝手サイトの開発である。NTTドコモ、au、ソフトバンク、ウィルコムの4キャリア対応ではあるものの、課金がない。ダウンロード系もない。あるのは検索と申し込み機能だけ。ユーザー認証は他のサイトで済ませて、そのサイトの中からジャンプしてくるという極めてシンプルな内容である。

 システム環境は、「Linux + PHP/Smarty + ORACLE」だという。実はすでに携帯サイトが存在していて、その横展開として若干異なる仕様のサイトを立ち上げることになり、ついでに4キャリア対応にしたいので、この部分を手伝ってほしいとのこと。つまりビジネス・ロジックに深く関わる部分は手を出さなくてよいという条件である。紹介会社の担当者が、中條さんではスキル的にオーバースペックですねとお世辞を言ってくれたが、このご時勢のこと、遠慮をせずに使ってもらえるのがむしろありがたい。