ここまで2回にわたってウェブ関連知識の検定試験を調べてきた(「ウェブ関連の検定試験を調べてみた」,「全日本能率連盟のWeb検定を受験してみた」)。最後に,「Yahoo!インターネット検定」に挑戦してみた。Yahoo! Japanのサービスの1つとなっており,好きなときにブラウザ上で受けられる。

 検定メニューは「能力開発」「インターネット・IT」「暮らし・スポーツ」「コンプライアンス」に大別され,タイピングエキスパートから将棋マイスター,落語「通」検定など多岐にわたる。今回は受験対象者が「職場で頼れるキーマンを目指す方」となっている「インターネットエキスパート上級」に挑戦だ。

 「インターネットエキスパート上級・中級」はNPO法人インターネットスキル認定普及協会の公認資格という位置付けだ。同NPO法人は国家資格のウェブデザイン技能検定の運営も手がけている。

 受験するにはYahoo! IDを取得し,Yahoo!ウォレットなど支払い方法を決める手続きが必要だ。次に目的の試験を選んで受験開始となる。試験時間は50分。問題数は40問で,合格基準は26問以上の正解。受験料は3000円だった。

 試験用の画面は前回挑戦した「Web検定」で,プロメトリックが採用している形式とほぼ同じだ。ラジオボタンで正答を選び次の問題へ移動する。

キーマンにLAN構築の知識は必須?

 出題範囲は他の検定よりかなり広く感じられた。セクションは「ネットワークに関する知識」,「インターネットの歴史と仕組み」,「WWW関連」,「メール関連」,「ブロードバンド関連」,「セキュリティ」,「法律関連」,「ネットで使う英語」の8つだ。

 問題の内容は,「WWWの基礎技術を作った団体は?」「インターネットの基本的なプロトコルは?」といった基礎問題に始まり,Peer-to-Peer型のLANについて正しい説明を選ぶ問題,無線LANの技術に関する質問,クライアント/サーバー・コンピューティングに必要な技術の選択といった,ネットワーク全般の用語の意味や仕組みに対する理解を問う問題が多かった。逆に,HTMLやスクリプト言語など実装に関する問題は無かった。

 全体からはLAN構築やイントラネットに関する問題が多いような印象を受けた。職場で頼れる人とは,やはりLAN構築に強い人なのだろうか。

KISSって何?

 最後の「ネットで使う英語」というセクションでは,英文メールでよく使われる正しい言い回しについての問題や略語の意味が問われた。その中で「英文メールでKISSと書いてあった時の意味は?」というような問題が出たが,筆者はこれが全くわからなかった。ジーン・シモンズの顔が浮かぶ。

 後で調べたところ「Keep it Simple, Stupid」の略だそう。本来,制作現場向けの用語でページなどの実装コードが冗長だったりサイト全体の構造が複雑すぎることを指摘するときに使うのだとか。KISSの法則という言葉もあるらしい。何事もシンプルにすることは良いことだが,「馬鹿(Stupid)」は言い過ぎではないだろうか。正しく回答できなかったので妙にへこんでしまった。

 筆者の総合評価は40門中28問正解,総合得点70点。コメントには「合格です。とてもよくできています。あなたは,インターネット全般について,おおむね正しい知識を持っています。今後も,新しい知識や技術の習得に励みましょう。」と書いてあった。

 ここではセキュリティの問題が足を引っ張った。無線LANの用語にも弱いようだ。正直,今回は落ちたと思ったが,ギリギリだったようだ。ウェブ関連業務に3年ほど携わっている人であればだいたい合格できるのではないだろうか。

インターネット実務検定免除も

 受験後評価シートのページを確認したら,手数料を支払えばNPO法人インターネットスキル認定普及協会が運営するI検(インターネット実務検定)2級の合格通知が入手できると書いてあった。「詳細」をクリックすると協会のウェブサイトに用意された支払い画面にジャンプした。5000円を追加で支払えばI検2級の合格者登録が,1万2000円を支払えばI検2級の合格者登録に加え,専用フレーム付きの2級認定証が送られてくるらしい。

 筆者は申請しなかったが,この仕組みを使うと簡単になりすまし受験も可能ではないだろうかと少し心配に思う。自宅などに受験用ページを表示したPCを用意しておき,あとはネットに詳しい友人に回答してもらえば良いのだから。こうした検定は資格として活用するというよりも効率よく必要な知識を身に付けるためにあると思えば,あまり問題ないのかもしれないが。

 最後に「Yahoo!インターネット検定オンライン認定証」を確認して終了した(図1)。認定証はURLを知らせれば誰でもアクセスできる。名前がYahoo!IDのハンドルネームなので信憑性に欠けるようだが仕方がない。

図1●合格したらもらえるYahoo!インターネット検定オンライン認定証

 前回と今回で検定に挑戦してみたが,どちらも自分の知識が少ない分野を特定するためには役だったと思う。ウェブ関連の仕事に就いたばかりの人ならば2,3年は業務を通じて勉強し,その後検定などを利用して知識の整理をするのが良いのではないだろうか。