春はいろいろと新しい知識を吸収したい時期。前回はウェブ関連検定試験の概要を調べたが,今回は受験してみた。社団法人全日本能率連盟(全能連)の登録資格である「Web検定 Webリテラシー」に挑戦する。公式サイトによると本検定の第一回目は合格率62%。とはいえ安心してはいられない。筆者は同検定のプロジェクトメンバーなので,落ちることは許されない。不安だ。

オンラインで予約,CBTで受験

 まずWeb検定の公式サイトから検定申し込みのページに飛んだ。試験はプロメトリックという試験の実施を専門に請け負う業者が担当している。プロメトリックのサイトでオンライン試験予約をする。IDやパスワードなどを登録後,カレンダーから希望の日程をクリック。希望の場所で希望の日に試験が開催されており,かつ,空きがあれば予約ができる。試験日の3営業日前(土日祝祭日は4営業日前)なら予約の変更も可能だ。

 いよいよ試験当日。試験会場はオフィスの一角に設けられていた。出力した受験票と身分証明用の書類を受付に提出。試験開始まで待つ。周りを見渡すとスーツ着用のビジネスパーソンが多い。証券外務員対策書籍を手にしている人もいる。他の検定も併せて行っているようだ。

 開始時刻の前,所持品をすべてロッカーに入れるよう指示を受ける。携帯電話なども持ち込み禁止だ。筆記用具も持ち込めない。試験はCBT(Computer Based Testing)
形式で行われるのでペンなどは不要なのだ。試験問題の持ち出しも厳禁とのこと。厳重な様子に緊張する。

 会場はパーティションで区切った机とPCが並んでいる。着席後,IDなどを入力したら開始だ。制限時間は90分で問題数は85問。1分に1問のペースで進めないと時間が足りなくなるではないか。

 結局,全問回答後に保留とした問題2問を再確認する時間を含めて70分ほどで終わった。

インターネットビジネスとSEOが弱点

 試験の結果はすぐにわかる。筆者は正答率が88%。なんとか合格できた。来月末(受験月の翌月末)には「Web検定Webアソシエイト認定書」が郵送されてくるはずだ。

 資格の有効期限は2年間。Web検定サイトによると「社団法人全日本能率連盟の指導のもと,2年ごとに有資格者の資格更新を行い,技能レベルの維持・向上に努めることになって」いるという。

 Webリテラシーは6つの分野から問題が出た。おおまかな試験内容の傾向は以下の通りだ。

 「WEBの基礎知識」ではサーバーの種類や機能,プロトコルの役割を確認する問題が出た。「インターネットビジネス」では取引構造のメッシュ化の定義や企業のリスクを分類するといったビジネス全般に関して出題された。「プロジェクトマネジメント」ではPMBOKやPDCAなど管理ポリシーの内容についての問題が出た。

 「Webサイトの企画・設計」では,サイトの遷移図設計に必要な考え方が問われた。「制作(デザイン・実装)」では,情報デザインの基礎知識からHTMLといった実装手段に対する技術問題。最後の「集客施策」は,SEOに関する用語の意味などを問う問題が中心だった。

 筆者の場合「インターネットビジネス」が79%,「集客施策」が60%と弱点が見えてしまった。自分の専門は制作(デザイン・実装)なので,ここで100%の正解率を確保できなければ落ちていただろう。

 中身の印象としては「インターネットビジネス」の難易度が高く感じられた。というのも,MBA対策書籍にでてきそうなビジネス用語がどんどん出てくるので面食らってしまったのだ。「Webの検定」イコール「制作現場で生きるスキルが主に問われるもの」と思っていたので誤算だった。これからのWeb構築ビジネスでは経営戦略の知識も必要という意見もあるが現実は厳しい。とは言っても,自動車普通免許の学科試験のように,日本語として注意深く読んでいれば答えられる問題もあったので助かった。

 それ以上に難しかったのは「集客施策」である。こちらは略語の専門用語や具体的なテクニックについて問われるので,用語を正しく理解していないと全く答えが導き出せない。

 企業のリスクに関することなどは業態を特定しないと答えようがない設問もあり,広く浅い内容をまんべんなく問うことの難しさも感じた。とはいえWebのビジネスで今必要とされる知識の構成が俯瞰できたことは良い経験だった。

 「Web検定Webアソシエイト認定書」のアソシエイトとは,「企画や戦略などを考える立場の社員」という意味だったような。Webに強い社員になるのも楽ではなさそうだ。