日経NETWORKでは,2006年7月に,ネットワーク管理者に求められる「現場力」を診断するための問題を「ネットワーク検定」と題してWebで実施した。問題と併せて回答者には,「資格を持っているか」を聞いた。そこで,資格の有無で得点に差が出たかを調べてみた。

 なお,以下の記事は,日経NETWORK2006年10月号の特集記事「実力診断&結果発表! ネットワーク検定2006」の一部を抜き出して加筆したものである。特集記事では,全問題,全問題の正答率,回答者インタビューなどを交えて紹介している。特集記事の内容の一部は,Webで公開している。ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

高レベル資格の保持者ほど高得点を獲得

図3-1●資格を持っている人と持っていない人の平均点
図3-1●資格を持っている人と持っていない人の平均点
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 図3-1上は,資格を持っている人と持っていない人の平均点である。結果は,資格を何も持っていない人の平均点が20.3点,何らかの資格を持っている人の平均点が22.9点となった。資格を持っている人は,持っていない人に比べて得点が2.6点高かった。30点満点のうちの3点なので,わりと大きな差になったと言えるのではないだろうか。

 さらに本検定でえは,「資格を持っている」と答えた人にはさらに「どんな資格を持っているか」を複数回答で聞いた。そこで,資格ごとに平均点を出してみた。すると,難易度が高い資格を保有している回答者ほど,高得点を取っていることがわかる。

 例えば,シスコシステムズが実施するルーター技術者向け資格は,CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert),CCNP(Cisco Certified Network Professional),CCNA(Cisco Certified Network Associate)の順に難易度が高い。平均点は,CCIE取得者が25.7点,CCNP取得者が24.6点,CCNA取得者が23.9点となった。NTTコミュニケーションズが実施する「.com Master」や,公的資格の傾向も同様だった。資格試験の勉強で得た知識の「量」や「深さ」が,そのまま結果に表れたと言えるだろう。

 ちなみに,今回のネットワーク検定で見事30点満点を獲得した回答者は5人いた。その5人のうち4人がテクニカルエンジニア(ネットワーク)取得者だった。

CCIE取得者だけが全員正解した問題は?

 今回ネットワーク検定を受けた回答者の中で,ルーター技術者資格の最高峰である「CCIE」取得者は12人いた。この12人のCCIE取得者が全員正解して,他の資格取得者の正答率が100%にならなかった問題があった。それが,問20「LANスイッチに関する用語」である。

問20
LANスイッチを新たに購入することになり、カタログを入手した。その中の一つに、以下のLANスイッチが掲載されていた。このLANスイッチが持つ機能を説明したもので、明らかに間違っているものを以下の選択肢から一つ選びなさい。

問20の図
問20の図

[選択肢]
a. LANスイッチ(スイッチング・ハブ)である
b. SNMPによる管理機能を持っている
c. 給電機能を持っている
d. ルーティング機能を持っている
e. あて先がわからないMACフレームをブロードキャストする機能を持つ

 この問題は,LANスイッチのパンフレットを見て,スイッチの持つ機能を答える問題である。CCIE取得者は,ルーターやLANスイッチに関するエキスパートである。こうしたネットワーク機器が持つ機能についても熟知しているだろう。そのため,LANスイッチに関する問題の正答率が100%になったのはうなずける。この問題の正解と解説は,解説ページを参照してほしい。

 ちなみにこの問題は,前回取り上げた「立場の違いで正答率に差が出た問題」でもある。正答率は,インテグレータが75.4%,正式管理者が60.3%,にわか管理者が53.7%,一般ユーザーが50.3%だった。インテグレータと一般ユーザーで,25.1ポイントの差がついた。

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